2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

蓼食う虫 2

谷崎潤一郎の「蓼食う虫」は、東京生まれの谷崎が関西の言葉をつかって書いた 小説でありますが、いまから80年も前のことでありますから、文化や経済は関西の ほうが東京よりも進んでいたのでありましょう。東京が日本の首都になったのは、 明治以降のこと…

蓼食う虫

谷崎潤一郎の「蓼食う虫」は、辻原登(この方の辻という字も、しんにゅうの点は 二つであるのですが、これは現在は、どのワープロでもでないと思いますが、この二点 しんにゅうが登録漢字(?)になるとかで、近いうちに発売されるワープロ辞書を 使うと、初…

季節の行事

いつの間にか正月よりもクリスマスのほうが、大きな行事であるように 思えるようになってきました。キリスト教の信者でもないのにどうしたこと でしょうか。もちろん、これはアメリカ文化の影響が大でありまして、特には ギフトの交換、ターキーではなくチキ…

「渡辺一夫装幀・画戯集成」

昭和50年(1975年)に亡くなった渡辺一夫さんは、六隅許六という 名前で装幀をやっていました。自分の著書を中心ですが、戦後の代表的な 作品には筑摩書房からでた中野重治「斎藤茂吉 ノオト」48年4月刊ですが、 これは装幀は渡辺一夫となっていま…

一枚の絵株式会社

昨日に、取り上げました「渡辺一夫装幀・画戯集成」という本の版元は、一枚の絵と いう会社になります。一枚の絵という会社は、いまでもあるのかなと思って、検索を かけたところ、現在も「一枚の絵」という雑誌をだしていて、それを通じて絵画の販売を して…

渡辺一夫の装幀画集

むかしの読書欄のほうが興味をひくコラムなどはあったことだなどと、ほとんど年寄り の繰りごとであります。新聞読書欄からの切り抜きスクラップを続けていたのですが、 最近はとんとごぶさたで、新聞一枚のままに取り分けていて、これはいつスクラップ帳に …

「彼等の昭和」

「 デルスー・ウザーラ」の翻訳を行った長谷川四郎さんのご兄弟については、 川崎賢子さんが「彼等の昭和」(白水社 94年)で取り上げています。 長男 長谷川海太郎 (林不忘ほか ) 次男 長谷川りん二郎 (画家) 三男 長谷川しゅん 四男 長谷川四郎 ( 文…

日曜日は新聞書評

日曜日は新聞各紙が書評欄をもうけています。いまでは日曜日の朝は、コーヒーを 飲みながら書評欄をみるというのが、生活の一部になっている人も多くいるでしょう。 今から35年ほど前には、書評欄というのは月曜日にありましたですね。新聞は株式情報 をの…

長谷川四郎とデルスー時代

映画監督の黒澤明さんが、最初に手にした「デルス・ウザーラ」の翻訳は誰の手に よるものであったのかというのが、昨日にわいた疑問でありました。現在、流通している 「デルス・ウザーラ」というのは、長谷川四郎さんによるものですが、長谷川四郎さんが 翻…

「デルス・ウザーラ」と黒澤明

本日届きました「本の話」をみていましたら、小林信彦さんの「黒澤明という時代」に 次のようなくだりを見いだしました。 「 太平洋戦争以前、1939年(昭和14年)に堀川博通氏は神田の古書店で『デル ス・ウザーラ』の原作を手にした。読んで、非常に…

医者は常識が欠落してるか

本日のニュースでは日本国の総理大臣が「(医師は)はっきりいって 社会的常識がかなり欠落している人が多い。」と語ったといって批判を 浴びています。「社会的常識の欠落」というのは、まれびとの証であって、 それがために治療行為ができるのであるとでも…

最近の雑誌付録事情2

「本の雑誌」12月号の冒頭の特集は、昨日も話題としました雑誌付録に ついてのルポルタージュであります。特集のリード文章には、次のようにあり ます。 「 雑誌が売れないと叫ばれる前から、雑誌につきもののおまけといえば、 なんといっても付録であった…

最近の雑誌付録事情

数ヶ月前に雑誌「ラピタ」が、久しぶりで万年筆を付録にするということで、 色めきたって本やへといたことがありました。付録のつく雑誌というのは、 小生の子どものころには、普通のことでありましたが、むかしの月刊誌が衰退 してからは付録でおなかがいっ…

台湾独立運動かな

ミステリー作品は弱いのですが、それでも探偵小説専門誌「幻影城」のことは、 記憶に残っています。これを購入したことは、たぶんないのですが、この編集長が 「島崎博」というかたであったことは頭の片隅に残っています。 この雑誌が創刊されたのは、74年…

新聞小説

最近の新聞小説では、朝日新聞の「徒然王子」が秀逸と教えられました。 とにかくおもしろいよと小説読みのプロからいわれると、どのようなものだろうかと 興味はひくのですが、仕事へ行く前の朝の時間に、この新聞小説を読む気分にはなり ませんです。仕事か…

長生きするのも

本日も辻原登さんの「熱い読書 冷たい読書」(マガジンハウス刊)から話題をいた だきます。 世界ひろしといえど、作家の名前に「大」がつくのは、「谷崎潤一郎」ただ一人だと いう決めつけから話ははじまります。「デュマ」とか「トルストイ」に「大」とつ…

これから小旅行

当方には伝統的な職場旅行の習慣が、まだ残っておりまして、本日が その日となりました。職場の若い女性には不人気至極となっておりますが、 近所の温泉地にいって、温泉にはいって宴会をするというものです。 このときに携行する本としてなにがいいかと、ち…

晩熟の人 4

熱い読書冷たい読書作者: 辻原登出版社/メーカー: マガジンハウス発売日: 2000/01/01メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (6件) を見る 本日も辻原登さんについての話題です。 今回、辻原さんの書物を手にして、まじまじと名前をみて、「辻…

晩熟の人 3 

晩熟とはいっても、若い時から地道な活動をしていて、年をとってから 急にブレークして世間に知られるようになったという事例がほとんどの ようで、それまでまったく何もやっていなかったのに、50代後半になって からやってみたら、才能が開花して大ブレー…

晩熟の人 2 

早熟に対する晩熟であります。昨日は、近年の晩熟の代表的な著作家として、 須賀敦子さんのことを話題にしたのですが、栴檀は双葉よりでして、文章を 発表する人で、須賀さんのような年齢になってから有名になるという人は すくないように思います。 著作家…

晩熟の人

こちらが還暦に近くなってきたせいもあって、小説とか批評家の新人と いわれる人で、自分よりも年長の人を見いだすのが大変になっています。 以前は、自分よりも年下の物書きは軽量級ばかりと小馬鹿にしていたの ですが、いつのまにか、ほとんどが年下になっ…

読書週間 8

本日、週末に利用するスーパーへといきまして、そこにはいっている 小さな本やで文庫本を購入しました。普通の文庫本でありましたら、たいていは ここで用が足りるので重宝していて、できるだけここで購入できるものは、ここで 購入しようと思っていたのでし…

読書週間 7

読書週間も終わりとなります。週間であるからといって、特別なことはなくて、 すこしはいつもよりも本をよむことができたでしょうか。この期間に読んでいた のは、次のようなものです。 災いの古書 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: ジョンダニング,John Dunni…

岩波新書創刊70年記念 5

加藤周一さんの「羊の歌」は、ほとんど自伝的小説と思って読んでいました。 特に興味深かったのは、女性とのつきあいを記したところでありまして、 「続 羊の歌」にある「京都の庭」という章は、加藤周一さんの知られざる一面を うかがうことができて、大変…

岩波新書創刊70年記念 4

小生がおすすめの岩波新書というと、どうやら加藤周一さんの「羊の歌」正・続に なるようです。はっきりとしませんが、この二冊は新刊で購入したもののようです から、1968年のことで、高校3年生の夏でありました。 68年というのは、けっこう世情騒然…

岩波新書創刊70年記念 3

最初に手にした岩波新書は、何であるかというのがよくわかりません。 自分がはじめて購入した岩波新書というのも記憶からとんでしまっていることです。 いまから40年ほど前には、岩波文庫は☆ひとつ50円ということになっていまして、 薄い岩波文庫は、本…

岩波新書創刊70年記念 2

今回のアンケートのベスト3は、「日本の思想」と「バナナと日本人」と 「万葉秀歌」でありますので、この三冊を一人のかたがあげるというのは、 ちょっと考えにくいことです。なんとなく、競馬における三連単のような趣が ありまして、不謹慎ではありますが…

岩波新書創刊70年記念

今月に届いた「図書」は、臨時増刊がついておりまして、それには「私のすすめる 岩波新書」とありました。岩波新書創刊されて70年記念してのものですが、各界 218人の方々にアンケートをした結果が掲載されています。 今回のアンケートで一番多くあがっ…

読書週間 6

本日もカナモト会長 金本太中さんの著作「脱 私の経営 私の人生」から 話題をいただきます。 「わたしは、幼少時から今に至るまで、間断のないトラウマに、苛まれていることを 告白せざるを得ない。そしてその主因が、幼少時の貧困と終生のエトランジェ感覚…

読書週間 5 

北海道に本拠をおくカナモトの会長である金本太中さんの本には、若い頃に 打ち込んだ「文学」を通じての友人とのことが記されています。「幼年時代を含めた少年期の交友は、文字どおり友だちであり、その後の生き方に、 決定的な影響を与えるものではなかっ…