季節の行事

 いつの間にか正月よりもクリスマスのほうが、大きな行事であるように
思えるようになってきました。キリスト教の信者でもないのにどうしたこと
でしょうか。もちろん、これはアメリカ文化の影響が大でありまして、特には
ギフトの交換、ターキーではなくチキンを食べ、ケーキを食べるというような
風俗を通じてクリスマスが国内で定着したものであります。
あとは、いろいろなクリスマスにちなんだ音楽があって、それが12月になると
メディアや店頭などから流れてきて、なじむのも影響をしているでしょう。
12月に新曲をだして売れたとしても、その年の紅白歌合戦に選ばれるわけでも
ないので、12月は諸外国のクリスマス音楽でも聞いているのが世界標準と
思っているのかもしれません。
 山下達郎さんの「クリスマスイブ」という曲などは、すでに20年も前の曲と
なりますが、毎年、番組等で使われることが多くなっているように思います。
思わず、まだ11月だ、あとすこし流すのはまてないかと声をあげそうになる
ことです。
七夕(この習慣は、中国から伝わってきたものかもしれませんが。)はすたれて、
ハロウィーンのばかさわぎにとってかわられるおそれがあります。
 日本の芸事で、この時期の季節の行事といえば、なんといっても歌舞伎の顔
見世であります。

「 江戸時代の歌舞伎の座組は、だいたい一年単位で固定されるというのが
普通で、その交代の時期は毎年十一月と決まっていました。新しい一座の顔ぶれ
を紹介する興行が『顔見世』です。現在、冬の京都の風物詩になっている南座
『京都顔見世』は師走に行われますが、本来は十一月であるべきで、そのため
初日を十一月末にすることもあります。」( 山川静夫「歌舞伎の愉しみ方」)

 今年の京都 顔見世は、11月30日(日)が初日となりますから、これは
はからずも江戸時代の伝統に忠実となって、おさまりがよろしいようです。
初日を日曜日とすると、暦のまわりによっては、十二月になることも多いので
しょう。
 日本の芸能発表で、この顔見世はダントツで入場料がお高いものであります。
こうした芝居が可能となるのも、京都、大阪に、この芝居をひいきにしていた
人がいたことによります。今年は、不況といわれていますが、顔見世の時くらい
歌舞伎座南座に足を運んで楽しんでもらいたいものです。