2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧
長谷川濬さんの「木靴をはいて」の解説で、大島幹雄さんは長谷川濬さんのことを次の ようにいっています。 「 長谷川兄弟のなかで、もっとも知られていない長谷川濬こそ、この街が醸しだして いた精神を自分の糧として、生涯コスモポリタンとして生きた男だ…
東京堂ふくろう店で購入した「木靴をはいて」は長谷川兄弟の三男 長谷川濬さんの 貴重な著作です。 長谷川兄弟を追いかけている人や函館に関心をもっているかたには見逃せない著作で ありますが、長谷川濬さんが、今ではほとんど無名となっていることや、版…
東京にいっていたときに土曜日にお話していた谷中の先生との会話中で、翌日の友人 との話しのなかで、長谷川兄弟の三男「長谷川濬」さんのことが話題となりました。 長谷川兄弟のなかでは一番、知名度が高くないのでありますが、満州の歴史に残る 人物の側近…
「土用の丑」のおかげで、野呂邦暢さん「水瓶座の少女」集英社文庫にあたりました。 この本を探していたのだよなといいたいところですが、これを購入しているなんて ことは、まったく記憶に残っていませんでした。 当方が野呂邦暢さんに注目したのは、74(昭…
昨日が土用の丑の日でありましたですね。この日にうなぎを食べるというのは、 江戸時代の「平賀源内」の仕掛けによるものとありましたが、本当のところは、 どうなのでしょう。 東京の老舗のお店でありましたら、毎日が土用の丑であるかもしれませんが、 田…
週末に東京へといって、日常から離れた数日を過ごしていたのですが、 本日からはまた普段の暮しが始まりました。それにしても、東京は暑い ことでした。ひさしぶりに35度超えを経験したのですが、35度と32度 では暑く感じる度合いがまるで違います。 …
今、谷中にお住まいの先生は、以前は東池袋にお住まいでしたが、 谷根千ブームとなる前に、お寺の敷地にたっている中古住宅を購入 して移りすみました。まわりはお寺とお墓ばかりで、道路は車が 入ることができない細さですから、静かなことにかけては天下一…
昨日から東京にきています。国立新美術館でのオルセー展と庭園 美術館での有元利夫展、それに谷中の先生のお顔を拝見するというのが、 今回の旅の目的です。 この時期の東京は、連日35度超えの猛暑日が続いており、来る前から 覚悟していらっしゃいといわ…
本日は旅先らの更新であります。今回の旅行に携行した本を 次のものです。美の死―ぼくの感傷的読書 (ちくま文庫)作者: 久世光彦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/03メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (21件) を見る これは…
久世光彦さんは、好みのきびしい人であったように思います。バランス良く 本を読んでいるのであれば、正統派の学者さんとなっていても不思議でない 感じですが、小学校に入る前から「蚊帳の中で腋の下に冷たい汗をかきながら、 『半七捕物帳』を繰り返し読ん…
「久世光彦の世界」の巻末にある久世光彦著作目録を見ますと、最初の単行本は、 「昭和幻燈館」でありますから、87年のことで、文筆家としては亡くなるまで20年 足らずでありました。この期間には、こうした文業のほかに、もともとの本業である テレビドラマ…
「書林逍遙」というのは、久世光彦さんがなくなって数ヶ月してから刊行された 単行本の書名です。もともとは、「小説現代」に04年1月号から06年3月号まで連載 されたもので、久世さんの急逝とともに中断を余儀なくされ、なくなった06年6月に 単行本となった…
テレビ業界の人であった久世光彦さんは、TBSを退社してからもテレビの現場で 活躍をするのですが、それと並行して、たくさんの著作を残しています。 人の何倍もの仕事をしたのですから、すこし早くになくなったとしても、悔いは ないのではと思います。どこ…
「本の探偵」さんのところに依頼がたくさん舞い込むというのは、よく考えると あまりよいことではないのかもしれません。そのように思っているのは、じつは 赤木さんご本人であります。 「 探偵をはじめて、一番先に気がついて、一番ショックを受けたのは、…
「本の探偵」というのは、赤木かん子さんがはじめたものです。ご自身が参加していた 児童文学の同人誌の別冊として出したものに、次のような「探偵案内」をのっけたのだ そうです。 「 あなたが昔読んで好きだった本、なつかしい、だけど、本のタイトルや作…
アーサー・ランサムさんのシリーズ全12巻は、「本の探偵」赤木かん子さんの一押しで ありますが、これまでは品切れが続いておりました。岩波書店でシリーズででていた児童 書のほとんどは岩波少年文庫にはいったのですが、なかでは、このランサムさんのもの …
「本の探偵」赤木かん子さんの仕事は児童文学です。児童文学が仕事といっても 大学などで教えていたわけじゃありませんし、図書館の司書でもありません。 もとより作家でも、児童文学の編集者でもありません。 これについての、赤木さんのコメントです。 「 …
九州から関西にかけては大雨のようですが、こちらは夜に傘マークがでていた ものの、なんとか雨となるまえに帰路につくことができました。 すこし早くに仕事場をでましたので、久しぶり帰り道にある「ブックオフ」に たちよりました。そこの百円棚で入手した…
岡崎武志さんと山本善行さんの「新・文学入門」に収録の「新・文學全集を立ち あげる」は、昨日に引用した丸谷才一さん、鹿島茂さん、三浦雅士さんの「昭和の 私小説作家」への評価の低さに反応したものです。マイナー作家好きとしては、 当然の反応でありま…
丸谷才一さん、鹿島茂さん、三浦雅士さんの三人による「文学全集を立ちあげる」 は、はじめから出版されることがないことを前提にした企画でありますから、文壇 人事のどろどろをほとんど感じることがありません。 この「文学全集を立ちあげる」」での作品を…
昨日までは「新・文學全集を立ち上げる」という岡崎武志さんと山本善行さんの 作業を話題にしていましたが、これには「新」とあるように、これに先立って 「文学全集をたちあげる」というのが発表されていました。文学全集を立ちあげる (文春文庫)作者: 丸谷…
かっては出版社にとって文学全集というのは、ドル箱でありましたので、そこに どのくらいのスペースを確保するのかというのは、作家にとっては収入に直結する 問題でありました。それと、業界における格付けの両面においてです。 最近は、本格的な文学全集と…
昨日と本日に、保倉幸恵さんの検索から当方のブログへときてくださる方の多いことに 本当に驚いています。これまでもある日突然に単語の検索からきていただくことはあり ましたが、このように多いというのは、初めてのことです。 たしかに、保倉幸恵さんの命…
本日は多くの方に保倉幸恵さんへの検索から拙ブログに立ち寄っていただきました。 当方が最近中古で取得した携帯電話は待ち受け画面で、七夕であった昨日から今朝 にかけて、アニメーションの流れ星をたくさん見ることができました。これを見て おりましたら…
最近は、かってのような「文学全集」が企画されなくなっています。これは、 全体として60巻を超えるような企画を購入しようという物好きがいなくなっている からですね。文庫版となった「ちくま日本文学全集」であれば、置き場所に困る ことはないかもしれま…
筑摩書房「現代日本文學大系」が完結した時には、筑摩では次の全集の企画が進行 していました。まだちくま文庫がなかった時代でありますので、文学全集は、ある程 度の販売が見込めて、営業的には堅いものだったのでしょう。しかし、結局のところ、 「現代日…
筑摩「現代日本文學大系」が充実しているのは、「現代詩集」「現代歌集」「現代 句集」が各一冊になっているほか、「文藝評論集」「現代評論集」に一冊がさかれて いるところでしょう。文藝評論集に関しては、それより前にでていた「現代日本文学 全集」では…
文学全集と人事というと、現存する作家をどのように扱うかというところが一番 の腕の見せどころでしょう。一人一冊というのと異なり、折り合いのよろしくない 人を一冊に同居させるというのは、交渉力も必要でありましょう。 「大岡昇平と三島由紀夫」があわ…
芥川賞とか、文学新人賞を受けたりするのは、文壇という組織の一員となるため の試験に受かったというくらいの意味でありまして、作家として認めらたというに は文学全集に一巻を確保したというのが一番わかりいいのかもしれません。 定評ある筑摩文学全集97…
故人となった作家ばかりをとりあげるのであれば、文壇人事にかかわりあうことも ないでしょうが、それでは、まったく新しい作家が登場する幕がなくなってしまい ます。昨日に見たように文学全集が次々と企画される時は、他との違いを強調しなく てはいけませ…