早熟に対する晩熟であります。昨日は、近年の晩熟の代表的な著作家として、
須賀敦子さんのことを話題にしたのですが、栴檀は双葉よりでして、文章を
発表する人で、須賀さんのような年齢になってから有名になるという人は
すくないように思います。
著作家ではありませんが、最近でそろそろ引退が近いかという年齢になって
から有名になった人に、福本清三さんという時代劇で切られ役専門の大部屋
俳優さんがいました。小生は時代劇をテレビでみたりする習慣はありませんので、
このような人のことは、まったく知らなかったのですが、時代劇ファンの老夫婦が
この方の登場を楽しみにしているという新聞投書(朝日新聞)でみかけて、
そのように脇役に注目して時代劇を見ている人がいるのかと、目からうろころが
落ちる思いがしました。彼が、ハリウッドから招かれて映画に出演したのは、
その新聞投書を見てから数年後のことでした。
どこかで誰かが見ていてくれる―日本一の斬られ役 福本清三 (集英社文庫)
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そういえば、本日の朝日新聞には「岐路にたつ同人誌」という見出しで「文学界」
誌上での「同人誌評」が打ち切りになったとありました。
「現在、『文学界』のリストにある同人誌の数は、320。最盛期には月に200誌
以上が寄せられていたが、現在は50誌ほどに減っていた。
同人の高齢化も進み、亡くなった同人への追悼文が巻頭におかれるものも少なく
ないという。」
晩熟を目指して地道な活動を行っていた作家予備軍で、ついにメジャーデビューを
果たすことなく終わってしまう人がほとんどであります。
その昔に小説家予備軍がたくさんいたときは、これを勝ち抜くには力がなくては
いけなかったのでありますが、最近は、その当時とくらべると、ずいぶんと
層が薄くて、新人賞受賞作品を手にしても、さっぱり感心しないのであります。
こういう時代でありますからして、晩熟の作家予備軍のがんばりに期待するので
ありますが、感覚が古いかな。