岩波新書創刊70年記念 3

 最初に手にした岩波新書は、何であるかというのがよくわかりません。
自分がはじめて購入した岩波新書というのも記憶からとんでしまっていることです。
いまから40年ほど前には、岩波文庫は☆ひとつ50円ということになっていまして、
薄い岩波文庫は、本当に50円で購入できたのでした。薄い文庫本というとモリエール
の戯曲がそうであったように思います。一日に岩波文庫☆ひとつ読むのを、自らに
課したなんていうのは、いかにも旧制中学から高校生にありそうな話で、岩波新書
「私の読書法」になかったろうか。
 岩波文庫の価格が☆であらわされ、☆いくつときくと本の厚さなんとなく眼に
浮かんだものです。それに対して、小生の高校時代の岩波新書は、すべて一冊150円で
ありまして、もちろんこれは青版でありました。青版はいつまで続いたのかと思い
ますが、一番購入したのは黄版でしょうか、それとも以前の赤版でしょうか。
 気に入ったタイトルか、読んでおかなくてはと思ったものしか購入していませんが、
それでもずいぶんとあるはずです。このブログを記するために、手近にある岩波新書
見てみましたら、帯がついていまして創刊50年1500点突破とありました。
これは88年12月に刊行された「サッチャー時代のイギリス」森嶋通夫さんのもので
ありました。森嶋さんのイギリスものは、何冊かシリーズのようになっていて、当時は
話題になったと思いますが、最近は読まれているのでしょうか。

 今回のアンケートでは、新井潤美さん(比較文学、英文学)が森嶋通夫さんの本を
あげていました。
「『イギリスと日本』 わたしが最初に読んだ新書である。当時私は15歳か16歳で、
 父の仕事の都合で、ロンドンに住んでいて、現地の学校に通っていた。・・・
 単純な英国礼賛ではなく、英国バッシングでもなく、二つの国の違いを冷静に、公平に
 分析し、それぞれの長所、短所がどのように生じてきたかを考察している。文章は
 ユーモアに溢れ、気品もあり、きわめて快く読める。30年以上たった今でも、その
 価値はかわらない。」

 今回の「図書」記念号には、岩波新書 表紙の色による時代区分がありましたが、
それによると次のようになるのだそうです。
 
 赤版 1938年〜1946年  101点
 青版 1949年〜1977年 1000点
 黄版 1977年〜1987年  396点
新赤版 1988年〜 現在