晩熟の人 3 

 晩熟とはいっても、若い時から地道な活動をしていて、年をとってから
急にブレークして世間に知られるようになったという事例がほとんどの
ようで、それまでまったく何もやっていなかったのに、50代後半になって
からやってみたら、才能が開花して大ブレークしたなんて例は、ほとんど
思いつくことができません。
 最近は、天網恢々疎にして漏らさずでありますから、マスコミの発掘網が
張り巡らされていますので、よほどでなければ、世の中にでるのが50代
後半なんてことはないのでしょう。
 若くしてデビューする小説家は、ほとんどが学校を卒業後に仕事につく
こともなく、小説が認められてしまい、編集者からは先生とよばれて、
スポイルされてしまうのでしょう。
 それでいくと、学校をでてから就職経験がある小説家の作品には、若くて
先生とよばれるようになった作家とは、ちょっど違っているかも知れません。
 先日に古本で確保した「熱い読書 冷たい読書」の著者の「辻原登」さんは、
小生よりも6才ほど年長でありますが、 1990年に芥川賞に輝いた時には、
すでに45才となっており、これは小生の感覚では十分に高齢者の範疇の受賞
者になっていました。