2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

二列目の人生

「二列目の人生」というのは池内紀さんの著書のタイトルですが、この本の 紹介には次のようにあります。 「どんな分野にも歴史に埋もれた天才がいる。人を押しのけるのが苦手。あるいは 我が道を貫くため、時流に背を向けることも厭わない。彼らは、華やかな…

書評という名の媚薬

仕事から帰宅しましたら「一冊の本」(朝日新聞社)と「波」(新潮社)が 届いておりました。遅くに帰宅してブログの材料を何にしようかと考えるのは、 仕事モードに14時間以上もどっぷりとつかっている頭には、気分転換に よろしいのですが、すぐに題材が…

三度のメシより古本

「古本通」に続く樽見博さん平凡社新書の2冊目が「三度のメシより古本」で あります。もともとが日本古書通信の編集をされていたひとだけあって、格調 高い古書についての著作です。 この本では反町茂雄さんの「一古書肆の思い出」が随所で引用されています…

ならまち文庫とカンヌ

カンヌ映画祭で河瀬直美監督の作品がグランプリを得たということで、新聞の 一面をかざっています。本日の朝のニュースではレッドカーペットの上を歩く 監督と見知らぬ二人が映像になっていました。あのふたりは、映画にでている 人のようだとはわかったので…

鉄筋コンクリートの書庫

書画骨董を収蔵するのは蔵と相場がきまっておりましたが、昭和の時代になり ますと「鉄筋コンクリート作りの専用書庫」というのが登場します。 昨日に話題にしたフランス文学者 鈴木信太郎さんは、この書庫のおかげで 貴重な資料を戦禍から守ることができる…

「記憶の蜃気楼」鈴木信太郎

高等遊民という言葉があって、仕事はなにもしていないが、食べるのには 困らずで、趣味にいきるというような人のことをいうように思いますが、 そのむかしの文学者なんてのは、仮に大学などに勤務していても遊民の ようなものであったのでしょう。 戦前から…

「私々小説」藤枝静男

先日に話題にした「私小説名作選」のなかに、藤枝静男さんの「私々小説」が 収められています。「私」がふたつも重なるのでありますからして、ほとんど自分の 身の回りで起きた出来事について記したような趣であります。それを「身辺雑記」と せずに小説とし…

「寂兮寥兮」 大庭 みな子

大庭みな子さんの作品は、ほとんど読んでもいないのですが、気になる 作家でありました。自宅には何冊もないはずで、谷崎潤一郎賞を受けた 「寂兮寥兮」(かたちもなく)という作品を文庫本で持っておりました。 短編といっていいものですが、これがなかなか…

日本名作シリーズ

先日に書店をみていましたら集英社文庫創刊30年を特集したPR誌が ありました。これは無料で配っているということで、いただいてきたのですが、 集英社文庫というのは、いまひとつインパクトが弱いように思います。 集英社文庫での偏愛本というのは、なん…

セクシーボイスアンドロボ

本日は帰宅が11時に近くなっておりまして、本日のテレビのお楽しみで 「セクシーボイスアンドロボ」は、すでに終わっていたのでした。 このドラマは、コミックが原作でありまして、それをもとに注目の脚本家 木皿泉さんがTVドラマに仕立てたものです。本…

まんがは文学を超えた2

「まんがは文学を超えた」というのを、意外なことのように受け止めて いるのは、活字が好きな世代に限ってのことです。生まれたときからまんがと アニメを見て育っているひとたちにとっては、活字で表現できることの ほとんどはまんがという形式でも表現可能…

まんがは文学を超えた?

いいおとなが少年漫画雑誌を読んでなんて、いまから三十年まえには良く いわれたことですが、最近は、まったくそんなこという人はいないでしょう。 本日の朝日新聞の読書欄には「吉田秋生」の「蝉時雨のやむ頃」がコミック ガイドでとりあげられています。筆…

森有正さんのこと

森有正さんは、フランスへと留学したまま、日本に戻らずに語学の教師を しながら、思索を深めていたというふうに理解をしております。 「遙かなノートルダム」というような哲学的エッセイを発表しています。 明治の大臣「森有礼」の孫にあたって、こどものこ…

仕事帰りにブックオフに

いつもよりすこし早くに帰路につくことができましたので寄り道を しました。仕事場と自宅の間にある「ブックオフ」は、小生にとっては おとなの駄菓子屋のようなものであります。千円札を一枚握って、この 予算内で楽しいお買い物であります。 コイン一枚で…

第20回三島由紀夫賞

本日の毎日新聞をみましたら三島由紀夫賞を受賞した若手作家がとりあげられて いました。佐藤友哉さんという26歳の人で、ありますが、これまにもけっこう 作品を発表しているかたのようです。小生ははじめて聞く名前でした。 この作家は島本理生という人と…

いわば未来の詩人でしょうか

たしか高校から大学にかけて手にした小説がサローヤンの 「我が名はアラム」(角川文庫)でありました。この作者名の不思議な 響きとアルメニアからの移民というのが、エキゾチックに思えたものです。 これの翻訳者は三浦朱門さんでありまして、三浦さんの作…

赤塚番の武居編集者

そのむかしに見たコミック誌「COM」の「トキワ莊物語」には、手塚治虫の 原稿をとりにきた編集者が、何人も部屋で待ち続けるというシーンがありました。 編集者は、皆がそれぞれの会社においては、エース格であるのでしょうし、原稿を もどらずには会社に…

赤塚不二夫のことを書いたのだ

文春文庫の今月新刊で武居俊樹「赤塚不二夫のことを書いたのだ」が でました。小生はコミックはあまり読まないのでありますが、ストリー ものよりもギャグ漫画が好みで、手塚治虫よりも赤塚不二夫がよろしです。 (たぶん、一番好きな漫画家はいしいひさいち…

「後方見聞録」2 

学研M文庫というのは、かなり興味深いラインナップなのですが、加藤郁乎とか 種村季弘さんのものが登場したようなシリーズは、いまでも健在なのでしょうか。 小生のところにあるM文庫のほとんどは、いわゆるぞっき本でありまして、本の下の ところに○にB…

「後方見聞録」

俳句などはほとんど読まないのですが、どういうわけか加藤郁乎さんの本だけは 何冊か購入しているのです。とはいっても、小生が購入したのは雑文集でありまして、 加藤さんの交友録のような内容のものを好んでいるのでありました。 最初に購入したのは、コー…

大塚信一さんといえば

昨日に名前をあげた大塚信一さん(前岩波書店会長)といえば、山口昌男さんの ことが頭にうかんできます。どうして、このように大塚さんは、山口さんと絆が つよいのだろうと思っていましたら、トランスビューの「理想の出版を求めて」を 読んで疑問氷解であ…

林達夫夫人

大塚信一さんの「理想の出版を求めて」の第1章は「小僧の修行」と なっています。大塚さんは39年生まれで、東京オリンピックの前年で あります63年から40年間ほど編集者(最後は岩波書店の会長)をして いましたが、いまから40年ほどまえには、岩波…

知識メタボリック症候群

昨日に届いた「みすず」5月号の表紙裏にある外山滋比古さんの 「木石片々録」をみておりましたら、「知識メタボリック症候群」という ことばが目にとまりました。 「近代社会は知識信仰が根強い。知識は広ければ広いほどよく、多ければ 多いほどよいときめ…

「成城だより」

ひさしぶりに大岡昇平の「成城だより」(文芸春秋社刊)を手にして 本日にふさわしい話題はないかと思って、80年5月8日のところを みました。この日の話題は二つで、一つは最近東京を席巻している イエローマジックオーケストラのキーボード奏者が坂本一…

連休に読んでいた本

この連休には、数回、本屋に足を運びましたが本を買うには いたらずでありました。探していたものはあったのですが、これが 見つからなかったことと、お客がきていて、あちこちに本の山を 築くのを自制せざるを得なかったためであります。 結局は、知人に確…

「編集工房ノア」目録

編集工房ノアからでているPR冊子「海鳴り」には、ノア出版目録がのって います。全国的に知名度のある書き手から、関西では知られているのだろうなと 思う人、ひょっとして自費出版かしらと思う人まで仲良くならんでいるのでした。 川崎彰彦さんのもので、…

編集工房ノア「海鳴り」

あちこちの読書系のブログに編集工房ノア「海鳴り19号」の ことが取り上げられています。不定期刊行となっていますので、 こうしたブログで情報を得てから、ノアにはがきを送りまして 「海鳴り」を送っていただくのでした。 今回もはがきを送らなくてはと…

阪田寛夫「歌につながる」

阪田寛夫さんの作品のキーワードは、家族、キリスト教、音楽、 友情ということになるのでしょうか。ほとんどの作品は、この要素が 盛り込まれているといってよいでしょう。 それは阪田さんが育った環境によるものです。両親は、熱心なキ リスト教徒で、かつ…

阪田寛夫短編集(文芸文庫)

編集者から小説家となった人は珍しくもなしです。新聞記者から転身して 小説家というひともあちこちにいますでしょう。続くマスコミということで いきますと放送局ということになりますが、阪田寛夫さんは朝日放送の制作 担当でありましたが、昭和26年入社…

石堂淑朗と松山俊太郎ほか

昨日に届いた「ちくま」5月号の石堂淑朗の連載には、彼の東大 教養学部語学単位の小編成クラスの同級生として種村季弘、阿部良雄、 松山俊太郎が登場します。 「先日鬼籍の人と化したボードレールの専門家 阿部良雄、知る人ぞ 知るインド哲学の思索家 松山…