まんがは文学を超えた2

 「まんがは文学を超えた」というのを、意外なことのように受け止めて
いるのは、活字が好きな世代に限ってのことです。生まれたときからまんがと
アニメを見て育っているひとたちにとっては、活字で表現できることの
ほとんどはまんがという形式でも表現可能と思っているでしょう。
 文学をこころざす人とくらべると、まんがに進もうという人のほうが
ずっと多いからして、まだまだまんがには可能性はあるのでしょう。
 かっての日本の文学が得意とした私小説というジャンルは、いまでは
つげ義春のまんがや、昨年に話題になった吾妻ひでおのコミックのほうに
引き継がれているという感じです。
 映画、TVドラマも、コミックを原作としたものが圧倒的に多くて、
いったい活字の世界の書き手たちは、なにをしているのかと思うのでした。
たしか、映画が盛んにつくられていた時代には、あたらしく話題となった
文学作品などをもとにして、製作されていたのにです。
 文学を超えたというのは、作り手の多さではそうでしょう。文学同人誌と
いうのは、ほとんど高齢化してパワーがおちていますが、コミケといわれる
マーケットに見られるように、コミックを手段として表現をしたいという
若い人はたくさん存在するのでありますね。
 これからは、高齢者向けのコミックがでてくるのでありましょう。
庄野潤三のようなコミック作家というのはでてくるのか、それが楽しみで
あります。