三度のメシより古本

 「古本通」に続く樽見博さん平凡社新書の2冊目が「三度のメシより古本」で
あります。もともとが日本古書通信の編集をされていたひとだけあって、格調
高い古書についての著作です。
 この本では反町茂雄さんの「一古書肆の思い出」が随所で引用されています。
特にすごいのは、太平洋戦争が敗戦におわってからの時代でありまして、この時に
旧家とか華族というところから、コレクションがどっと市場にでたのでした。
あのようなことは二度とないだろうとことですが、これは文化財クラスの話であり
ました。
 このような古典籍なんてものには、小生は一生縁がないでありましょうが、
古書に興味をもつようになって、高い値段で取引されていて、高値の花と
なっていたものが、劇的に安くなっているのをみるのは、まるで戦後の一時期の
ような価値観の変化を感じるのでした。
一番はセット物といわれるインテリアとしても珍重された全集などです。昔は
ほるぷなんていう会社があって、せっせと居間の書架に飾ってもおさまりのよい
文学書の復刻とかを販売していたのです。
 もっとお金のあるところでは「アメリカーナ」とか「世界大百科」などを
ならべていました。平凡社は、あの百科事典でずいぶんとうるおったのでしょうが、
いまはこうした紙媒体の百科事典は販売しているのかと思うくらいです。
たぶん、文学全集とかも値段が激減しているものでしょう。読書ブログでちくまから
でていた文庫サイズの「日本文学全集」が支持されるのは、セットで揃えても
置き場所に困らないからでありましょう。