「編集工房ノア」目録

 編集工房ノアからでているPR冊子「海鳴り」には、ノア出版目録がのって
います。全国的に知名度のある書き手から、関西では知られているのだろうなと
思う人、ひょっとして自費出版かしらと思う人まで仲良くならんでいるのでした。
 川崎彰彦さんのもので、ノアからでたものはほとんど購入したのですが、この
カタログにある「わが風土抄」というのは、小生が所有する75年2月にでたものと
同じでしょうか。たぶん、同じとしか思えないのですが、それにしてもずいぶんと
動かないことでありまして、これを在庫として持ち続けることがすごいと思うの
でした。
 目録には、たまに「品切れ」の文字が見えます。それは天野忠さんの随筆集
そよかぜの中」であり、足立巻一さんの「学芸の大阪」という江戸末期学芸都市
大阪の人々についてのものにありました。天野さんは、ノアでは山田稔さんとならんで
一番の売れ筋でしょうからわかるとして、足立巻一さんのものが品切れというのは
意外でした。これは、テーマがよろしいからでしょうか。
 足立巻一さんの本で一番最初に手にしたものは、河出書房からでた「やちまた」で
した。時間だけはたくさんある学生の時に新刊で購入して一気に読み上げたことを
記憶しております。「やちまた」を読んで感激した仲間数人とで、高知へといって
墓参りをした記憶がありますが、あれは「やちまた」に登場するどなたのものであり
ましたろうか。
 足立さんのものは、このあと刊行されるたびに購入してきたのでですが、どういう
わけか、ノアからでるようになった頃から、ぱたっと読まなくなっています。本来で
あれば「学芸の大阪」などは押さえていて、当然と思うのですが、その当時には、
足立さんへの関心も薄くなっていたのでしょう。現在は品切れとあれば、これはどこかの
古本やで探すことにいたします。
 ノアには、庄野潤三さんのご兄弟のものがそろっています。お兄さんである英二さんの
ものが十冊をこえてあるほか、至さん(弟さん)が書いた「足立さんの古い革鞄」と
いうのがありますので、まずはこれを購入しノアの世界に浸るとともに、足立さんの
世界への足がかりといたしましょう。