知識メタボリック症候群

 昨日に届いた「みすず」5月号の表紙裏にある外山滋比古さんの
「木石片々録」をみておりましたら、「知識メタボリック症候群」という
ことばが目にとまりました。
「近代社会は知識信仰が根強い。知識は広ければ広いほどよく、多ければ
多いほどよいときめてかかっている。・・・忘れることを怖れ、ただ知識を
増やすことに専念していれば知識メタボリック症候群の侵すところになる
ほかはない。
 世の優等生、秀才はそんなことは夢にも考えず、知的肥満体になって得意で
ある。頭のよさは知識の量に比例するという根拠のない命題にとらわれている
ことを一度も気づかずに自負の人生を送ることができる。物知りが知的人間で
あるという通念があるかぎり、知的メタボリックは増え続ける。・・
 肥満は運動によって解消するらしいが、知識めたぼりっく症候群において
運動にあたるものは、忘却であろうが、忘れることは、散歩などに比べ、
格段にむずかしいのである。」
 そうか、知的メタボリックにかからないようにするためには、忘れることが
一番であると記しています。この文章をみますと、上手に忘れることは、
訓練次第で身につくように思えてきました。当方は、数年前から、ひどく
忘れっぽくなっておりますし、もともと知的な部分はすくないので、ほって
おいてもメタボリック症候群には縁がないようであります。