「成城だより」

 ひさしぶりに大岡昇平の「成城だより」(文芸春秋社刊)を手にして
本日にふさわしい話題はないかと思って、80年5月8日のところを
みました。この日の話題は二つで、一つは最近東京を席巻している
イエローマジックオーケストラのキーボード奏者が坂本一亀の息子
さんであると知って驚いたというもので、もうひとつは、夕刊で
野呂邦暢さんの急逝の報に接したというものであります。このときの
野呂さんは42歳で、大岡さんは「惜しい人を亡くした。早くくたばって
いい人間は、わたしを含めてくさるほどいるのに。」と書いています。
「元文学界編集長の豊田健次がべた惚れに惚れ込んでしまって、諫早
菖蒲日記を完成したあと、一度拙宅に見えられたことあり、温和な風貌、
しんに強いところがありそうだったが、すこし柔らかすぎる一面があり、
そこが気になった。」
 本を読むかたはしから忘れてしまいます「成城だより」に「野呂邦暢
さんがなくなった直後のコメントがあったことは、まったく記憶に残って
おりませんでした。本日に、ブログの話題を求めて、何冊かの本を手に
しまいましたが、「成城だより」を開いて、本日と同じ日付のところを
みましたら、まさに導かれたかのように、この話題にあたりました。
 たしか、野呂さんのふるさと諫早では、5月最終日曜日に「菖蒲忌」が
行われているのですが、ことしはどのようなイベントがあるのでしょう。