「ちくま」5月号から

 「ちくま」5月号をパラパラとみているのですが、なんとなく会社の勢いを感じる

ような内容になっています。

 一番は「編集室から」でありまして、「春の訪れとともに刊行された恩田陸さんの

『spring』、たちまち三刷と好評をもって迎えられ嬉しいかぎりです。嬉しさは重なる

もので、なんと刊行記念としてスピンオフ短編『H.H.邸におけるチャリティ・ディナー

パーティ』をお書きいただきました。華やかな春たちのバレエの舞台裏では、こんな

地道な努力が行われていたんですね。」

 当方は恩田作品は、一つも読んでいないのですが、勢いのある女性作家の作品を

得て、会社の部門も元気になっているようです。「spring」なる作品を図書館から借り

て読もうとしますと、相当に待つことになりそうです。

 ちくま巻末に掲載の新刊案内をチェックすることにです。

 一番驚いたのは「柳田國男全集」の新刊が刊行となることです。前回のものは

いつにでたのでありましょう。5月に出るのは、「別巻2 補遺」とあります。

未発表資料多数とありますので、柳田國男研究者にとっては必須の資料ではあり

ますが、どのくらいの部数で発行するのか、価格は18700円だそうです。研究者で

あれば値段は問題になりませんですね。

 当方がこれは買いだなと思ったのは、ちくま文庫からでる「洲之内徹ベスト・

エッセイ 1」であります。まだ書影は公開されていませんが、発売となる5月11日

が楽しみでありますね。

 この文庫本に添えられた文章には、「凄惨な戦争体験に裏付けられた人間洞察

と、定見を軽々と超えていく卓抜な文章で、美のなんたるかに肉薄する脅威の随想

集。」とありました。

 この洲之内集の編集は椹木野衣さんとありました。「きまぐれ美術館」からは選

しないように思いますので、それ以外のものから選となるのでしょうか。

「ベストエッセイ1」とあるからには、これの続きもあるのでしょうね。こんな本から

取られているのかな。

 そういえば「ちくま」で気になっていた保阪正康さんの「中江丑吉伝」が、ひさし

ぶりの掲載がありまして、そこには休載となった事情が書かれていました。

昨年11月の終わり頃に帯状疱疹となって、それが引き金となって持病も悪化し

療養の日々を過ごしていたとのことです。

 とりあえずめでたく再開できてめでたいことです。今月号は、これまでの続きで

はなく、「私はなぜ中江丑吉を書こうと思っているのかをオムニバス風に」書くと

のことで、このような楽屋話はありがたいことです。