2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

偏愛作家ベスト3

「本の雑誌」の特集「偏愛作家ベスト」では209人の作家があがっています。 いまこのリストをながめて、これにのっていない作家のことをとりあげるのも よろしいかと思うのですが、なかなかリストをていねいにみるところまでいき ません。 昨日までの話題…

偏愛作家ベスト2

「本の雑誌」にあった「偏愛作家ベスト」の特集にはいる前に、その特集を 企画した「ピクウィック・クラブ」のところで足がとまっているかっこうです。 「ピクウィック・クラブ」とはディケンズの小説のタイトルからとられたものです。 一時期、ちくま文庫に…

偏愛作家ベスト

「本の雑誌」9月号をみていましたら「偏愛作家ベスト209」という記事が ありました。これは「ピクウィック・クラブ」メンバーによる企画であるとの ことです。このページには「ピクウィック・クラブとは」と紹介がありました。 「紀伊国屋書店新宿本店の…

ぼくの伯父さんの会5

ここでは長谷川四郎さんの奥様である長谷川済子さんについての話しを河出道の手帖に そって記していくこととします。長谷川四郎--時空を超えた自由人 (KAWADE道の手帖)出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2009/08/21メディア: 単行本(ソフトカバー)購入…

ぼくの伯父さんの会4

昭和の時代が終わるころに、数年間だけ東京に住んでおりました。そのころに、 すでに当方は、「ぼくは伯父さんの会」会員でありましたので、東京に移り住んだ のを機会に、病床にあった長谷川四郎さんを訪ねてみたことがありました。 長谷川四郎さんのお見舞…

ぼくの伯父さんの会3

長谷川四郎さんの生誕100年を記念しての河出 道の手帖「長谷川四郎」特集には 小説では「シルカ」「鶴」とならんで「ぼくの伯父さん」が収録されています。 小説「ぼくの伯父さん」は69年青土社からでた「ユリイカ」のために書かれたもので あります。 …

ぼくの伯父さんの会2

長谷川四郎さんには「ぼくの伯父さん」(1971年刊)という作品集があるのですが、 これは別にジャック・タチ主演の映画に刺戟を受けて書かれたものではありませんで しょう。 「新日本文学」1978年9月号は「長谷川四郎論」の特集ですが、これに掲載されて …

ぼくの伯父さんの会

「ぼくの伯父さんの会」というのは、わたしの中にはあるのですが、もちろん現実に ある会ではありません。 いまほど「ぼくの伯父さん」ということでGoogle検索をかけてみましたら、約93,300 ほどあるというのに、ヒットするのは「ジャック・タチ」が主演する…

疎開小説13

昨日の小林信彦さんの引用には「第1期疎開は3月10日に終わったのですが」と ありました。どうして3月10日かということは、わからないのであります。これに ついての答えは「東京少年」のなかにありました。 「終了疎開児童の東京引揚計画が発表されたのは…

疎開小説12

山中恒さんの「ボクラ少国民」第4部「欲シガリマセン勝ツマデハ」には、次のような アンケートが引用されています。初出は「週刊文春」昭和41(1966)年8月22号とのこと です。この号は、「疎開学童」の特集を組んでいて、これに掲載のものです。 この本に…

疎開小説11

只今様から数日前に「思えばあの頃、写真機は誰もが持っているものではありません でした。」との書き込みをいただきました。この場合のあの頃というのは、疎開の時代 でありまして、戦時体制から敗戦にいたる頃の話しです。 この時代には、町に写真館という…

疎開小説10

山中恒さんの「ボクラ少国民」第4部には「疎開は勝つため国のため」という章が あります。いまでは死語になっていますが、戦時中には「少国民」という言葉がありま した。「少国民(しょうこくみん)は、太平洋戦争(1941年 – 1945年)体制下の日本に おい…

疎開小説9

カトレーン様に書き込みをいただいたなかに、「学童疎開については山中恒氏の 『ボクラ少国民』の中の第4巻『欲シガリマセン勝ツマデハ』に詳細に論じられて います。」とありました。 山中恒さんという文学者は、映画「転校生」の原作者ですが、ライフワー…

疎開小説8

疎開小説という言葉は久世光彦さんの文章にあったものですが、これにふさわしい 小説というのは、意外にすくないのかもしれません。「只今様」からいただいた コメントには、「学童疎開のことについての小説は、小林信彦氏のもの以外殆ど見当たら ないという…

疎開小説7

学童疎開についてをテーマにした小説作品で、一番入手が容易なの小林信彦さんの 「東京少年」(新潮文庫)であるようです。この作品は、新潮社の「波」に連載された ものをまとめたものですが、文庫本のあとがきに「記憶とその裏付けをとるためには、 月に1…

疎開小説6

柴田道子さんの「谷間の底から」(岩波少年文庫版)は、おすすめですといって 紹介しようと思ったのですが、この本が見つかりません。ずいぶんと前に読んだもので ありまして、内容も忘れてしまっていますので、具体的に紹介することができません。 昨日に引…

疎開小説5

「疎開」ということは小学生が戦火を逃れて田舎へ移住することだと思って いましたが、もともとは軍事用語であるということを、この度初めて知りました。 子どもたちが疎開することは、正しくは学童疎開というのだそうです。 本日の朝のNHKラジオで柏倉康夫…

疎開小説4

作家 柏原兵三さんの年譜を見ていましたら、生年から疎開にいたる足取りは次の ようにありました。 昭和8年11月 千葉市に生まれる。父 兵太郎は鉄道省官吏で、当時ロンドンに留学中 昭和15年4月 渋谷区千駄谷小学校入学 昭和19年4月 縁故疎開のため、父の…

疎開小説3

疎開小説といってどのようなものを思いだすでしょうか。最近も流通しているもの には、次のものがありました。東京少年 (新潮文庫)作者: 小林信彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/07/29メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログ (10…

疎開小説2

昨日の日記に柏原兵三さんは、高岡市に疎開をしたと記しましたが「sheepsong55」 さんにコメントをいただきましたとおりで疎開先となったのは、柏原さんの父上の 出身地である富山県下新川郡入善町であります。このことについては、読売新聞 読書欄でのとり…

疎開小説

久世光彦さんの文中に「疎開小説」ということばがありましたので、これで検索を かけましたが、このようなジャンルが確立して定着しているわけではありません。 「疎開」体験にこだわっている作家には、小林信彦さんがいらして数年前に、 これに関しての著作…

真青な夏 2

昨日に続いて、久世光彦さんの「昭和幻燈館」に収録されている「真青な夏」から 話題をいただきます。 「なぜあの年の空が青かったかを説明してくれた人がいた。ほとんどの主要都市が 破壊され、あるいは破壊はされてなくてもあらゆる生産工場が機能を停止し…

真青な夏

今年の夏はお天気が不安定なようです。 本日の甲子園 高校野球は雨で中止となり、東京ではところによって冠水したと ニュースで報道していました。 それでも記憶に残る8月というのは、真青な夏なのですね。 「 あの年の夏は、いやに空が澄んで青かった。変…

小さなことば 3

大きなことばといえば、そのことばを母語とする人が多いものが頭に浮かびます。 中国語、英語、インド語なんてのがベスト3なんでしょうか。次に大きいというのは、 母語としている人の数はそうでもないが、国連のなかで公用語として使われている ものなどが…

小さなことば 2

本日も、「ことばの自由をもとめて」からの話題であります。現在、流通している 著作としては「法廷にたつ言語」という書名になっているのですが、小生がいま参照 していますのは、今はなき「福武文庫」版であります。 田中克彦さんの著作は、いまでは岩波、…

小さなことば

田中克彦さんは、もともとはモンゴル語研究からスタートした言語学者でありますが、 その活動のフィールドは多岐にわたります。最初に手にしたのは、モンゴルものとなる 「草原の革命家たち」でありましたが、一時期、小生が文壇天皇とやゆする丸谷才一さん …

蒙古民族統一運動5

田中克彦さんには、「ことばの自由をもとめて」(福武文庫)という本があります。 この本は、もともと「法廷にたつ言語」というタイトルで恒文社からでたものですが、 その後、福武文庫にはいる時に一部見直しとなったのにあわせタイトルがかわり、 現在はも…

蒙古民族統一運動4

田中克彦さんの著作とくらべますと、「ファインマンさん最後の冒険」は好奇心に あふれた学者(ファインマン)とその仲間である著者(レイトンさん)による、幻の国 「トゥバ共和国」の探訪記録であります。 著者のラルフ・レイトンさんとファインマン博士に…

蒙古民族統一運動3

長谷川四郎さんは、「シベリア再発見」(三省堂新書)のなかで、「蒙古民族統一 運動というのはとっくに影をひそめたが」と書いています。長谷川四郎さんがいう ところの統一運動というのは、どのようなものであろうと思っていましたら、8月2日 朝日新聞読…

蒙古民族統一運動2

本日の朝日新聞読書欄で柄谷行人さんが「ノモンハン戦争 モンゴルと満州国」を とりあげていました。この書評の最後のところは、「本書を読んだあと、モンゴル 出身の力士たちを見ると、感慨を覚える。」とありましたが、モンゴル出身力士の 外見のみを見ま…