偏愛作家ベスト

 「本の雑誌」9月号をみていましたら「偏愛作家ベスト209」という記事が
ありました。これは「ピクウィック・クラブ」メンバーによる企画であるとの
ことです。このページには「ピクウィック・クラブとは」と紹介がありました。
紀伊国屋書店新宿本店の若手従業員が中心となって立ち上げた、文学を専門とした
フェア企画グループ。2009年5月にフェア『対決!共鳴し合う作家たち』を実施、
好評を博した。クラブ名称は同名のディケンズの長編からとったもので、物語を
求めて彷徨するという作品の性格を意識して名付けられたもの。メンバーは現在6名、
平均年齢27歳である。」
 平均年齢27歳ということは、そうとうにお若い人たちによるクラブですね。この人
たちがどのような作家を偏愛しているのか興味があるところです。
 その前に、ディケンズの「ピクウィック・クラブ」」でありますが、この小説は、
一時期「ちくま文庫」にはいっていましたですね。それ以前には、三笠書房から分厚い
単行本で刊行されていました。ディケンズは、人気作家でありましたので、作品はけっ
こう翻訳されているように思います。文庫となった有名な作品は入手が容易でありま
したが、ほかは翻訳されていても、すこし分厚くて値段の高い三笠書房のものでした
ので、手がでないで終わりました。
 この作品は、ディケンズ24歳のデビュー作となったのですが、ちくま文庫の解説に
よりますと、「出版社から初めて話しがあってから第一号が出版されるまで、僅か
50日間である。その間、印刷に要した時間をさしひくと、ディケンズは第一号の
原稿を一カ月足らずの短い期間に書き上げたはずである。小説としてのこの作品の
全体的構想をねったり、芸術定意匠をこらしたりする余裕などあるわけがない。
一切が五里霧中である。全くいきあたりばったりの即興的な作品として出発したので
ある。」
 24歳のデビュー作品を、このように書いて、それが200年ほどもたって読み
継がれるというのがすごいことであります。