2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

杉浦康平のデザイン7

杉浦康平さんが創刊当初からデザインを担当していた「季刊 銀花」が終刊となると いうことで、これを求めるために町の本屋にでかけました。この号には、これまでの総 目次がつくということで、これが一番の目当てでありました。この号の「編編草」 (ぺんぺ…

杉浦康平のデザイン6

当方が杉浦康平さんのデザインを一番身近に感じたのは、70年代の初め 河出書房の出版物を担当していた時代です。一番売れたのは、高橋和巳 「わが解体」でしょうか。当方は、このように深刻な本は好みではなかった ので購入することはなしでありました。こ…

杉浦康平のデザイン5

杉浦康平さんのデザインは、装幀というにとどまらず、中身にも踏み込むような ものであります。これは写真集の仕事などで獲得した方法のようです。 臼田さんの書くところによると、次のようになります。 「写真集のデザインで杉浦が試みた書物をトータルに見…

杉浦康平のデザイン4

中井正一全集第4巻の書影は、以下のものとなります。 初回配本の定価は580円でありましたが、この第4巻の定価は2400円でした。 81年頃に2400円というのは、けっこう値段が高かったのですが、売れそうもない ものでありましたし、まあ完結にこぎつけただけ…

杉浦康平のデザイン3

杉浦康平さんが64年に担当した中井正一全集は、まだ市ヶ谷に本社ビルがあった 美術出版社の刊行物です。奥付けにデザイン 杉浦康平と名前があり、担当として 編集者 長田弘の名があります。これからまもなく、長田弘は会社を辞めて、初期の 晶文社の編集にか…

杉浦康平のデザイン2

杉浦康平さんは、20代のうちにスターとなって、それから50年間最前線で活躍を しています。平凡社新書「杉浦康平のデザイン」によると、61年8月2日の読売新聞 では、当時の若手デザイナーである粟津潔と比較して、次のように記しているとの ことです。 「…

杉浦康平のデザイン

デザイナーの杉浦康平さんといえば、最近休刊がきまった「銀花」のデザインを 創刊から担当していた方ですが、その仕事の全体を伺い知ることのできるものが なくて、残念に思っていましたが、やっと「杉浦康平のデザイン」という新書が まとまりまして、すこ…

「みすず」読書アンケート6

今年の「みすず」読書アンケートにおいて、とりあげている本をみて「みすず」 らしい人だなと思うのは、小尾俊人さんとか片山敏彦さんにつながっている人で ありますね。 この方は、あまり「みずず」らしい人と思っていなかったのですが、そうした 二冊をあ…

「みすず」読書アンケート5

「みすず」らしい人といえば、評論家の「青木やよひ」さんもそうでした。 もともと「みすず」の社員であったかたですから。昨年にお亡くなりになった のですが、今回のアンケートには、青木さんの著書をあげている方がいました。 尾埜善司さんというかたで、…

「みすず」読書アンケート4

「みすず」読書アンケートの常連さんで、いかにもみすずらしい人といえば、 村上光彦さんがいます。72年の読書アンケートにも登場し、次の本をあげています。 (5冊のうち3冊は専門とするフランス語のものですから、これは省略) ・ 奈 良 直木孝次郎 岩波…

「みすず」読書アンケート3

最もみすずらしい文化人森本達雄さんがあげる、もう一冊は「あたたかい人」 高杉一郎著です。「最初この本の表題を目にしたとき、筆者はてっきり、本書が 昨年上寿をまっとうされたあたたかい人高杉一郎さんへの知友たちから寄せられた 悼詞集だと早合点して…

「みすず」読書アンケート2

「みすず」読書アンケートの常連寄稿者というのは、一番「みすず書房」らしい 文化人ではないかということで、森本達雄さんと村上光彦さん名前が浮かんできま した。このお二人は、ともに当方がもっているものでは一番古い「みすず」72年 1月号の「読書ア…

「みすず」読書アンケート

先日に「みすず」読書アンケート特集号が手元に届いたと報告をしていますが、 なかのほうはさらっと見ただけで、なにを話題にしようかと思案中であります。 この読書アンケートが始まったのは、65年くらいのことと、どこかで見た記憶が あります。もう大分…

岩波「図書」2月号3

本日も、中野三敏さんが記している地方版について文章からですが、まずは次の文が 目につきました。 「板木の彫りや刷り、また装丁・製本の具合が、三都書肆のそれに何ら見劣りせぬもの であれば、大方の実務は三都書肆の手になるものとしてまず間違いはある…

岩波「図書」2月号2

岩波「図書」で連載となっている中野三敏さんの「和本教室」は、二十一回目と なりました。江戸時代の出版事情のことをわかりやすく教えていただけて、勉強に なる連載です。 いまでこそ、出版産業は東京が中心となっていますが、かっては京都がその中心で …

岩波「図書」2月号

今回の岩波書店「図書」2月号は、新しい連載がはじまったりして、大変読み応えの あるものとなっています。普通の月刊誌の1月号は12月に店頭に並び、お正月には2月 号となり、営業的にはそうするしかないのでしょうが、月刊誌の世界はいつまでたって も生…

電車の中で読む本

本日は電車に乗って片道1時間ほど離れた街へといっていたのですが、車中で何を 読もうかと思って用意をしたのは、次のようなものであります。 1 SUMUS 13号 もったいなくて、1日すこしずつ読むことにしています。 2 日本哲学小史 熊野純彦編著 中公新書 …

映画館へ行こう

最近は、本当に映画に若い人たちがはいってきて活気があることです。 業界的にはそんなに景気がいいのではないのかもしれませんが(先日に シネカノンが会社更生法申請とありました。)、地味で、低予算の映画が 数多くでることです。 名前も知らない監督が…

二月は逃げる

二月は逃げるといって、あっという間に、この月は終わってしまうようです。 今年の二月は、かってない豊作月でありまして、いつものように「みすず」読書 アンケート号はでるし(今年は注文するのがおくれてしまって、いまだに手にする ことはできていません…

川崎彰彦さん追悼

当方の手元には、川崎彰彦からいただいた葉書が何通かのこっています。 長谷川四郎スクールの一員として川崎さんのことを知って、編集工房ノアが まだ正式にスタートする前に涸澤さんがだされた「わが風土抄」とか、高村 三郎さんが孔版印刷で刊行した「「私…

節分も過ぎて

今年に入ってひと月も筑摩書房の現代国語教科書で楽しんでいました。この教科書の ことは、森まゆみさんも愛着があると書いていたのを見たことがありますが、このよう に40年以上もたってから見ても、なかなか見事なものであります。当方が、ブログで 遊ん…

国語の教科書31

筑摩書房の現代国語教科書から話題をいただいていましたが、高校3年の最後に おかれた臼井吉見さんの「三冊の本」には、後年になっての青柳瑞穂との出会いが 用意されていました。数十年ぶりで教科書を取り出してきて臼井吉見さんの文章を 読んで、「ささや…

国語の教科書30

仕事をしなくても生活に困らなくて、好きな本などを買うお金の心配がないと いうのは、なまけものにとって理想的な環境でありますが、めったにそんな人には あわないことです。日本でも有数のお金持ちの縁者である政治家の一人は、母親 から信じられないほど…

国語の教科書29

大正年代に遊学のために東京へと子どもをだすことのできた家というのは、 どのようなことで財をなした家であるのかと思います。 小生のまわりで聞いたりした話しの多くは、家が貧しくて学校にも満足に いけなかったというものですので、特にそのように思いま…

国語の教科書28

国語の教科書に登場する青柳瑞穂さんは、極め付きの愛妻家のように見受けられ ますが、瑞穂と同じ敷地の家で育った孫のいづみこさんによれば、教科書にのる ようなお行儀の良い人ではなかったようであります。 しかし、教科書で臼井吉見が青柳瑞穂さんに言及…

国語の教科書27

臼井吉見さんは、国語の教科書に「青柳さんは、この村が好きになり、ひんぱんに 訪れては、村人となじみを重ねることになります。それというのも、ここは青柳さんの 妻であり、今はなき人の生まれ在所だからです。妻への愛情のため、彼女の生まれて 育った家…

国語の教科書26

青柳瑞穂の掘出しものというのは、ちょっと普通とはスケールが違います。 最近でいいますと、農家の主婦がはたけを耕していたら、土のなかでかちっと 音がして、それを掘出してみたら、それは中空土偶というもので、このように 完璧なかたちででてくるのはめ…

国語の教科書25

国語の教科書にある「ささやかな日本発掘」(青柳瑞穂)は、同名の著書の 最後におかれた70ページほどのものです。「ささやかな日本発掘」という本には、 「掘出しということ」と題された文章があります。 まずは、青柳瑞穂の「堀出しということ」の冒頭か…