「みすず」読書アンケート

 先日に「みすず」読書アンケート特集号が手元に届いたと報告をしていますが、
なかのほうはさらっと見ただけで、なにを話題にしようかと思案中であります。
 この読書アンケートが始まったのは、65年くらいのことと、どこかで見た記憶が
あります。もう大分まえに、この読書アンケートを一冊にまとめた単行本がでました
が、あれはいつからいつまでをまとめたものであったでしょう。
 拙ブログでもとりあげましたが、かっては吉川幸次郎なども、このアンケートに
回答を寄せていたことがありました。
 今回の号で一番古くから協力しているのはだれだろうかなんていう興味で、見て
いるのですが、みすず創業のころから関係している人がいるでしょうか、あわせて
昨年なくなった青木やよひさんという批評家(この方はみすずの編集者でありました)
について記しているひとはいないかとも思ってみておりました。
 「みすず書房」(当時は漢字で美篶と表記でした。)創業の一冊は、昭和21年にでた
片山敏彦「詩心の風光」でありますが、この本は、数年前に記念復刊しておりました。
この時期に、この本をあげている人が、一番「みすず」らしい人であるのかもしれま
せん。片山敏彦を師と仰ぐ、森本達雄さんはインド思想と文学が専門ですが、毎年、
このアンケートでお名前をお見かけします。
 みすずというと片山敏彦、ロマン・ロランタゴールなんて人名がつながりますが、
このような輪の中に森本達雄さんはいらっしゃいます。
ロマン・ロランが戦後の日本の私たちの世代に与えた高邁で壮大な精神の理想主義
は、いまは遠い昔日の語りぐさのようになっているが、あの光芒は、雪の信州の一隅
から『聖夜の光』のようにまたたいたという話しは感動的である。」
 みすずという言葉にはあまりなじみがありませんが、これは「しなの」にかかる言
葉であるということです。
森本さんがこのように書いているのは、小尾俊人さん「昨日と明日の間」幻戯書房
ついてでありました。今回のものでは、森本さんがあげている三冊は、みな当方が
購入しているものでありまして、このアンケートでは、このように購入が重なると
いうのは極めて珍しいことでして、これは森本さんのことを、もうすこし記してみよう
ということになるのでした。