杉浦康平のデザイン7

 杉浦康平さんが創刊当初からデザインを担当していた「季刊 銀花」が終刊となると
いうことで、これを求めるために町の本屋にでかけました。この号には、これまでの総
目次がつくということで、これが一番の目当てでありました。この号の「編編草」
(ぺんぺんぐさ)という編集後記には、読者に、広告主に、そして1号も欠かさずに
参加した写真家と杉浦さんにも感謝が述べられていました。
「 広告主の皆さまにも、この場を借りてお礼申し上げる。本誌に直接的な広告効果を
期待することは難しい、と聞いたことがある。”消費文化”とは一線を画し日々を送る読
者が多いためだ。それでも出稿を続けていただいたことは、結果、読者から『銀花の
広告は個性的で楽しい』と受けとめられた。本誌への共感と信頼を寄せていただいた
こと、絶大なる応援だった。ありがとうございました。」
 昨年から、本年にかけて多くの雑誌が休刊、終刊となっているのですが、どの雑誌も
無念であるのでしょうが、このような広告主への感謝の言葉をかかげることができた
ものはどのくらいあるでしょうか。ほかの雑誌も、それなりに役割を果たしたので
しょうが、後になって無くなって淋しいといわれるものは、どれだけあるでしょう。
 最後の編集長さんが記しているのでしょうが、杉浦康平さんについては、次のように
記しています。
「 創刊に際し、グラフィックデザイナーの杉浦康平さんに、本誌の表紙デザインを
依頼した時のことである。『私は婦人誌のデザインはやらない』と固辞されたとか。
杉浦さんは、体制におもねらず、商業主義に堕すことなく、出版文化を牽引する
デザイナーだ。その人と手を結んで新たな雑誌を船出させようということは、雑誌の
あり方そのものが問われることにほかならない。揺るぎない指針を携えた表紙デザイン
が、内容の振幅を大きくしながら歩く『銀花』の品格を、引き上げてくれた。ありが
とうございました。」
 この本を購入してから、この町のブックオフへといきましたら、なんと奇跡のように
「銀花」138号から141号の4冊美本が半額でならんでいました。このなかには、
杉浦康平さんの雑誌デザイン」を特集した号とか、加藤静允さんをとりあげた号が
はいっていて、なんとまあ幸運なことでしょう。

 これは創刊35周年記念号となる「140号」でありますが、「杉浦康平の雑誌
デザイン」が特集であるほか、特別付録として”散華”一葉が付録でついていて、その
付録もそのままにブックオフでは販売されていました。(「散華」は蓮の花びらを
かたどった紙片であるとあります。仏教の式典のときにまかれたりします。その昔に
九品仏のお寺にいったとき「散華」にありついたことを思いだしました。)
 先日の「岡崎武志」さんのブログには、あちこちのまだいったことのない町の古本
屋をめぐってみたいとありまして、当方の住む町も面白そうと地名があがっていました
が、今のところ、あまり競争が激烈ではありませんので、けっこうな収穫をのぞめそう
でありますが、あまり宣伝をしないことにいたしましょう。