「みすず」読書アンケートの常連さんで、いかにもみすずらしい人といえば、
村上光彦さんがいます。72年の読書アンケートにも登場し、次の本をあげています。
(5冊のうち3冊は専門とするフランス語のものですから、これは省略)
・ 奈 良 直木孝次郎 岩波新書
・ 渡辺華山 杉浦明平 朝日新聞社
この本についてのコメントには、「本書き的な歴史小説で、そのおもしろさは、
多彩な作中人物の群像のなかから時代の雰囲気がわきでてくることに由来して
いるようです」とありました。
小説「渡辺華山」は朝日ジャーナルに連載されたものが大部の二冊本となって
刊行されました。たしか、72年はでたばかりのときでありましたでしょう。
それから38年ほどたって、村上光彦さんは、今はおいくつになられたのでしょう。
みすずの人は、今回のアンケートで次のものをあげています。
・ あたたかい人 高杉一郎 みすず書房
「2008年1月に高杉先生が亡くなられたとき、わたしは個人的事情があって訃報を
見落としました。わたしは学生時代に静岡ではじめてお目にかかってから、先生が晩年
に入ってからもずっと親しくさせていただいてきたのに、初対面のときの印象は、先生
の没後『高杉一郎・小川五郎追想』に書かせていただきました。・・・
高杉先生が生きてこられた人生を<歴史>のなかに的確に位置づけてくださる方が
登場され、先生の生涯と仕事とを綿密に調べたうえで成果を発表しておられるのは、
先生のためによろこばしいことです。この遺文集には、小川五郎=高杉一郎先生の
踏んでこられた道筋が、プリズムに分光されて多彩な輝きを放っています。」
村上光彦さんは、エリ・ヴィーゼルなどの翻訳で著名でありますが、この方も片山
敏彦さんのスクールでありまして、そうしたことで、森本達雄さんともかぶるので
ありました。