水瓶座の少女

 「土用の丑」のおかげで、野呂邦暢さん「水瓶座の少女」集英社文庫にあたりました。
 この本を探していたのだよなといいたいところですが、これを購入しているなんて
ことは、まったく記憶に残っていませんでした。

 当方が野呂邦暢さんに注目したのは、74(昭和49)年1月に芥川賞を受けたことに
よってです。森敦さんと同時受賞でしたが、森さんは、旧制一高時代に同人誌に作品を
発表したことにより注目を浴び、その後進学せずに放浪生活をおくって60歳をこえて
から、復活した新人ということで話題になり、野呂さんは、かって自衛官であったと
いう経歴が話題になりました。
 野呂さんの受賞作「草のつるぎ」は、北海道千歳の自衛隊での生活を綴ったもので
あります。千歳というのは、当方が高校時代に住んでいた町で、わけあって千歳では
親元を離れて下宿暮しをしており、下宿には自衛官の方(ただし、防衛大卒の幹部)も
いましたので、千歳、自衛隊というだけで、親しみを感じたものです。(野呂さんが
一年間住んでいたのは、57(昭和32)年のころでありまして、当方の高校時代とは、
時代が重なっておりません。)
 それで、野呂さんの小説を購入するようになったのは、いつ頃のことでしょう。
なにせ、「草のつるぎ」が刊行されてすぐに購入して、読んだということであれば、
立派なのでありますが、ほとんどが文庫本になってからの購入でした。
 「水瓶座の少女」は、1979(昭和54)年7月に集英社文庫コバルトシリーズ
収録されています。当方はこれがでてすぐに購入したもののようです。この文庫に、
あとがきでもありましたら、もっとよろしでありますが、当方の目にとまったのは、
巻末にある作者の紹介です。
 「 昭和12年長崎市に生まれる。県立諫早高校卒業後、上京して各種の職業に
 携わる。
  昭和48年「草のつるぎ」で芥川賞受賞。・・趣味は、猟銃をたずさえ山野を歩く
 こと。」 
野呂さんには、「猟銃」という作品集があるのですから、「猟銃をたずさえ」と
あっても不思議でないのかもしれませんが、なかなかイメージが重なりません。