本の探偵 2

 「本の探偵」赤木かん子さんの仕事は児童文学です。児童文学が仕事といっても
大学などで教えていたわけじゃありませんし、図書館の司書でもありません。
もとより作家でも、児童文学の編集者でもありません。
 これについての、赤木さんのコメントです。
「 しかし、仕事にしてる!といっても、それはわたくしが勝手にそう思っているだけ
でありまして、世間さまは、そんなこと全然、思っちゃくれない。・・・
 つらつら思うに、”仕事”には二つあるんだね。
 ひとつは、これこそ天命、我が命、一生かけても悔いはない、と思うお仕事。・・
 で、もひとつは、まわりじゅうが安心する、いわずとしれた食べるためのお仕事。
 この二つがうまくドッキングすれば、そりゃもういうことはありませんが、そういう
幸運がだれの上にも訪れてくれるとは限りまん。」
 当方などは、一番好きなことは仕事にしないほうが、好きなことと長くつきあえると
いう考え方でありまして、赤木さんのような生き方や、本好きが高じて古本屋の主人に
転じてしまう人のことを知ると、ほんとうに尊敬をしてしまいます。
 赤木さんは、「子どもの時から、子どもの本が好きだった!」とあります。
「 子どものときから本が好きで、読みに読んだ。閉鎖されている小学校の図書館に忍び
入り、一日五冊、食事の間にも本を開いた。中学生のときは毎週、バスに一時間半のって
図書館に通った。数十回読んだ本もある。」
 これは、赤木さんの本に転載されていた赤木さんを紹介する新聞記事であります。 
 こうした本好きの少女が、児童文学を仕事にしようと思ったのは、中学二年の時だそう
です。
「 これは、忘れもしない、中学二年の時に、アーサー・ランサムというイギリスの作家
が書いた『ツバメ号とアマゾン号』のシリーズ全十二巻にぶつかって、これだ!こういう
ことを私はやりたいのよ!と悟って以来、決定的になりまして、好きな男、じゃありま
せんが、他のことは考えたことがない。」
 アーサー・ランサムの岩波からでたシリーズですよ。読んでみたいなと思っているうち
に、いつの間にか書店での入手は困難となり、図書館で借りても読むことができないため
に、最近は、ネット古書店での在庫を確認していたのですが、これがやっと岩波少年文庫
にはいって、入手が容易になります。この日がくるのを待っているうちに、こちらは還暦
に近くなってしまいましたが、まずは購入することにいたしましょう。

ツバメ号とアマゾン号(上) (岩波少年文庫 ランサム・サーガ)

ツバメ号とアマゾン号(上) (岩波少年文庫 ランサム・サーガ)