文学全集と人事 14

 岡崎武志さんと山本善行さんの「新・文学入門」に収録の「新・文學全集を立ち
あげる」は、昨日に引用した丸谷才一さん、鹿島茂さん、三浦雅士さんの「昭和の
私小説作家」への評価の低さに反応したものです。マイナー作家好きとしては、
当然の反応でありますね。
 岡崎さんと山本さんのほうは、もうすこしつっこんで一人一巻で、全60巻のもの
を「どこかの出版社で通るようなラインナップにしたい」といっています。しかも、
現実に商売としてなりたつように「最低でも五千部は売れそうなもの」となります。
 具体的には、鹿島茂さんから「文章が下手」といわれている上林暁さんの巻に
ついては、山本さんが作成した目次案までできています。
 上林暁さんの目次案を見ていると、ここにある作品を読んでみたいという感じに
なります。「ジョン・クレアの詩集」は元版をもっていたので、まずは、これを
再読しようか。これには、「中学一年生」という作品があって、これが初出の時に
「展望」で読んで、いいなと思ったことを思い出しました。
  どちらかというと、丸谷さんたちがたちあげる「文学全集」よりも、岡崎、
山本組のもののほうが、この時代にはあっているように思います。この「新・文学
入門」の巻末には、「架空 きまぐれ日本文學全集」全60巻のつか見本の写真が
掲載されていて、これがでたら、定期購読するのにと思っているのです。