返却日近し

 週末にせまった図書館本の返却日にあわてて本を手にすることになりです。

イルメラ・日地谷=キルシュネライトさんの対談集「<女流>放談」という本

です。

〈女流〉放談――昭和を生きた女性作家たち

 1982年(今から37年も前のこと)の2月から桜の頃にかけて、定職のない

若い研究者として、日本に滞在した著者は、女性作家14人にインタビューの

申し入れをして、それを記録するのですが、それは特に陽の目をみることもな

く、時間が経過したのですが、それを目にした伊藤比呂美さんが後押しして、

今回本にまとまりました。

 82年に行ったインタビューは14人ですが、そのうち3人の分は収録するのに

許可を得ることができなくて、収録は11人、そのかわりその時にインタビューす

ることができなかった瀬戸内寂聴さんとの、2018年3月の対話が収録となって

います。(この瀬戸内さんとの対話は、その一部が岩波「図書」2018年11月号

に掲載されています。)

   82年に34歳であった著者は、どのような基準でインタビューする作家を絞り

こんだのかでありますね。

 目次をみますと、次のような分類となっています。

 1 明治生まれの先駆者たち  佐多稲子 円地文子

 2 戦中派の戦後      河野多恵子 石牟礼道子 田辺聖子  

               三枝和子 大庭みな子 戸川昌子

 3 戦後派の憂鬱      津島佑子 金井美恵子 中山千夏

 今になってみたら、なんの不思議でもないラインナップでありますが、37年前

のことでありまして、円地文子さんなんて、それからまもなくして亡くなるのです

から、とても貴重な記録なのでありますね。

 さて、掲載することができなかった三人とはどなたでありましょうと、11人の

お名前を見て思ったことです。これからずいぶんあとには、女性作家の選集な

どがでていましたので、それの背表紙などをながめて、たぶん、この作家などは

インタビューを受けているはずと思ったりです。

 その答えは、この本にあるエッセイ「『女流文学』が文学になる日」にありまし

た。いずれも大きな存在の人たちで、こうした作家さんとのインタビューの時の

様子などは、このエッセイに記されています。

 82年ころの女性の人気作家さんを思い浮かべれば、二人はすぐに浮かんで

くるような気がしますが。

 このあと、すこし個別のインタビューをのぞいてみることにしましょう。