休み明けに目にした読書欄で、思わず拍手をしたのは、地元の北海道新聞
に掲載の「平田俊子さんの3冊の本棚」でありました。
(北海道新聞の読書欄は、独自路線の選書でありまして、評者も含めてなか
なか好ましいものです。読書欄の白眉は四半期に一度掲載の豊崎社長の鮭児
書店であることはいうまでもありません。)
たぶん平田俊子さんは、定期的に登場する方なのでしょうが、当方はこれま
でのところ、ほとんどスルーしていたような感じでありまして、これまでどん
な本を取り上げているのか記憶にないのでした。
平田さんの取り上げる3冊は、昨日に引き続きで山田稔さんのものから始ま
ることになりです。
平田さんの書き出しは、次のようになります。
「『リサ伯母さん』の頃から山田稔さんの著書に折りに触れて読んできた。山田
さんの本にはエッセイ集もあれば、エッセイと小説の間をいくようなものもある。
ほどよい切なさ、ほどよいユーモア、さりげない知性が心地いい。品がいいのに
気取っていないところもいい。」
平田さんは1955年のお生まれだそうですから、それを考えると「リサ伯母さ
ん」より以前に出会っていても不思議ではないのですが、山田さん初期の「スカ
トロジー」なんて作品は、あまり若い女性には歓迎される(またはおすすめでき
る)作品ではないかもしれないですね。
当方などはシリアスな小説ではなく、「スカトロジー」を腹を抱えて笑って
楽しんだほうでありますので、そういうことからは初期の小説とかエッセイから
親しんでいる読者と、後期の散文から入った読者とでは山田さんのイメージが
すこし違うかもしれないと思うことです。
それはそうと平田さんがおすすめの山田さんの本は、編集工房ノアから刊行の
「山田稔自選集」であります。なかでも第一集は、山田さんの入門書として最適
といっています。
これは入手が容易なはずですし、大好きな編集工房ノアの本ですから、当方も
これは大賛成です。
これについで平田さんは山田稔さんも関わりが深く、自分も大好きな天野忠
さんの詩集を紹介したいのだが、入手しにくいようなので、他のものをとなり
ます。
たぶん思潮社の現代詩文庫版は、そんなに入手は難しくないのではないのか
な。
これにかわって平田さんがあげているのは、「関西在住で山田さんと交流の
ある坪内稔典さんの新刊を」ということで、次のものです。
坪内さんと平田さんですから、これは立命館大学文学部つながりでもありま
すね。
最後の三冊目は、やはり「山田稔さんの本に登場する田邉園子さんの」本。
もとは「女の夢 男の夢」を取り上げたいが、入手困難そうなので、同じ著者の
次のものとなりです。
ということで、平田俊子さんの三冊は、当方もこのブログで言及したりして
いるものでありまして、そういうこともあって、目をひいたのでありますね。