日曜日の読書欄から 2

 休み明けに目にした読書欄で、思わず拍手をしたのは、地元の北海道新聞

に掲載の「平田俊子さんの3冊の本棚」でありました。

北海道新聞の読書欄は、独自路線の選書でありまして、評者も含めてなか

なか好ましいものです。読書欄の白眉は四半期に一度掲載の豊崎社長の鮭児

書店であることはいうまでもありません。)

 たぶん平田俊子さんは、定期的に登場する方なのでしょうが、当方はこれま

でのところ、ほとんどスルーしていたような感じでありまして、これまでどん

な本を取り上げているのか記憶にないのでした。

 平田さんの取り上げる3冊は、昨日に引き続きで山田稔さんのものから始ま

ることになりです。

 平田さんの書き出しは、次のようになります。

「『リサ伯母さん』の頃から山田稔さんの著書に折りに触れて読んできた。山田

さんの本にはエッセイ集もあれば、エッセイと小説の間をいくようなものもある。

ほどよい切なさ、ほどよいユーモア、さりげない知性が心地いい。品がいいのに

気取っていないところもいい。」

 平田さんは1955年のお生まれだそうですから、それを考えると「リサ伯母さ

ん」より以前に出会っていても不思議ではないのですが、山田さん初期の「スカ

トロジー」なんて作品は、あまり若い女性には歓迎される(またはおすすめでき

る)作品ではないかもしれないですね。

 当方などはシリアスな小説ではなく、「スカトロジー」を腹を抱えて笑って

楽しんだほうでありますので、そういうことからは初期の小説とかエッセイから

親しんでいる読者と、後期の散文から入った読者とでは山田さんのイメージが

すこし違うかもしれないと思うことです。

 それはそうと平田さんがおすすめの山田さんの本は、編集工房ノアから刊行の

山田稔自選集」であります。なかでも第一集は、山田さんの入門書として最適

といっています。

 これは入手が容易なはずですし、大好きな編集工房ノアの本ですから、当方も

これは大賛成です。

山田稔自選集〈1〉

山田稔自選集〈1〉

  • 作者:稔, 山田
  • 発売日: 2019/07/01
  • メディア: 単行本
 

  これについで平田さんは山田稔さんも関わりが深く、自分も大好きな天野忠

さんの詩集を紹介したいのだが、入手しにくいようなので、他のものをとなり

ます。

 たぶん思潮社の現代詩文庫版は、そんなに入手は難しくないのではないのか

な。

天野忠詩集 (現代詩文庫 第 1期85)
 

  これにかわって平田さんがあげているのは、「関西在住で山田さんと交流の

ある坪内稔典さんの新刊を」ということで、次のものです。

俳句いまむかし

俳句いまむかし

  • 作者:坪内 稔典
  • 発売日: 2020/08/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

  坪内さんと平田さんですから、これは立命館大学文学部つながりでもありま

すね。

 最後の三冊目は、やはり「山田稔さんの本に登場する田邉園子さんの」本。

もとは「女の夢 男の夢」を取り上げたいが、入手困難そうなので、同じ著者の

次のものとなりです。

伝説の編集者 坂本一亀とその時代 (河出文庫)

伝説の編集者 坂本一亀とその時代 (河出文庫)

  • 作者:田邊園子
  • 発売日: 2018/04/23
  • メディア: 文庫
 

 ということで、平田俊子さんの三冊は、当方もこのブログで言及したりして

いるものでありまして、そういうこともあって、目をひいたのでありますね。

vzf12576.hatenablog.com