新聞の全国紙で日曜から読書欄を動かしていないのは読売新聞だけのよう
です。本日の出先で、読売購読者の友人が読書欄を見せてくれました。
当方が購読している朝日とくらべますと、読書欄に限っては読売のほうが親近
感がわくというのが面白いことでありまして、藤原辰史さんも読売にいたほう
が個性が際立ったように思います。
20日の読書欄では、新刊のとりあげでも目をひくものがありましたが、それ
よりも一番ヒットしたのは「文庫✕世界文学 名著60」というコラム欄で
作家青山七恵さんが取り上げていた次の文庫本です。
この小説のことを最初に知ったのは、2018年2月に手にした「みすず」読
書アンケート特集で、これをあげていた人がいたからでありました。
その方は、次のように書いていました。
「現代中国人の孤独、そこからにじみ出るやさしさがみごとに描かれている。
とくに百ページほどの『優しさ』に感動した。訳文がまたすばらしい。」
この評者は山田稔さんでした。これを目にしてから、ずっと気になっていた
のですが、書店で手にすることはなく、ネットに注文することもなしで、3年
近くも経過しています。
じいさんと孫娘のようなお二人がともにすすめる小説というのは、どういう
ものでありますか。
青山さんは作者イーユン・リーさんを、次のように紹介しています。
「北京生まれのイーユン・リーは大学院進学のためにアメリカに渡り、母語で
はない英語で創作を始めた。デビュー作となる2005年の短編集『千年の祈り』
は多くの文学賞を受賞し、今では『中国のチェーホフ』とも称されているとい
う。『黄金の少年、エメラルドの少女』は短編の名手としての呼び声をより
確かなものにした彼女の二冊目の短編集だ。」
山田稔さんの短い評文と、山田さんの小説の好みをちょっと思い浮かべて、
青山さんの紹介にある文章を読んでみますと、このイーユン・リーさんは、
チェーホフの小説が好きなひと、そして山田稔さんの散文が好きな人におすす
めとなりますね。
ということは、当方にはど真ん中のストライクではないですか。ということ
で、この小説集をさがしてみることにいたしましょう。