まだ「海鳴り」からであります。まずは目についたところを紹介するので
ありますが、本日は最後におかれた涸沢純平さんの「平野甲賀さんの四点」
から話題です。
涸沢さんはもちろん編集工房ノアのご主人でありまして、この「海鳴り」に
発表した文章を中心にまとめて「遅れ時計の詩人」と「やちまたの人」という
著作を発表しています。どちらも「編集工房ノア」からでありますが、この二
冊に関しては発行者は小西敬子さんとなっていまして、涸沢夫人のお名前での
表記です。
編集工房ノアの本は、資金に余裕がないこともあって、すっきりとしたシン
プルな装幀が多く、逆にそれがノアの本らしくありです。当方のところにも気が
ついてみましたら、ずいぶんとノアの本はありますが、ならべてみましたら
そこに一つのトーンがあるように思います。なによりも控えめで騒々しくない
というのがデザインポリシーでしょうか。(以前の大阪にはノアの本をずらっ
と並べていた棚があったので、そこへと足を運びましたら、実感していただく
ことができたのですが。)
他にも著名な装幀家に依頼したノアの本というのがあるのかもしれませんが、
今回の「海鳴り」で、涸沢さんが明かしているのは平野甲賀さんに依頼したの
が四冊あるということです。
その四冊とは、次のものだそうです。
夫婦の肖像 天野 忠
北園町九十三番地 山田 稔
富士さんとわたし 山田 稔
ペリーの巣 あいちあきら
天野忠さん、山田稔さんというのはわかりますが、あいちあきらさんという
のが意外感がありますが、これは著者の希望で実現したとのことですから、著
者にとっては、これ以上の喜びはなかったでありましょう。
(当方の手元にあるノアの平野甲賀本をパチリです。「夫婦の肖像」はたぶん
持っていないでしょう。)