夕食後に日課となっている庭の見回りを実施です。そのときに隣家の砂利を
敷いているところで、砂利の上を小走りに動く子どものような物音です。
隣家には子どもさんはいないはずだし、どなたか遊びにでもきているものかと
思ったら、キッというような音が聞こえて、そのあとばさばさと近づいてくる
鳥の音です。見ますと、カラスが口にすずめをくわえて、押さえつけていまし
た。
あのキッという音は、すずめが捕われたときに発した声でありましたか。
そのあとカラスは地面ですずめを絶命させ、それから隣家の屋根の上で、スズ
メの胸のところをつついてから、再びくわえて飛び去っていきました。
当方はそれを目撃することになったのですが、こういうシーンはほとんど目
にすることがなく、こういうときこそカメラを持っていましたら決定的瞬間を
おさめることができましたのに。
スズメはかわいそうであるなと思うものの、これが自然界の掟でありますか。
庭に咲いているスズランから良い香りがただよっています。当方のところの
スズランは在来種でありまして、花は控えめで葉の下に咲いていて目立ちませ
ん。
今から60年も前のことになりますが、当時弾丸道路といわれた国道の沿った
村に住んでおりました。
そこの悪童たちは、スズランが咲く頃になりましたら、野原にでかけていって
スズランを摘み、それを小さな束にして輪ゴムでしばり、国道にたって通りかか
る車にむかってアピールし、それを販売して小遣い稼ぎをしていました。
たしかひと束10円くらいであったと思うのですが、どのくらい買ってくれる人
がいたのでしょう。小学校低学年の当方も先輩のけつについて、一緒にならん
だことがありますが、当方は10円ゲットできたのでしょうか。
ちょうどその近くにゴルフ場などができたころで、今でいいますと内地からの
富裕層観光客がターゲットであったようです。
李恢成さんの「百年の旅人」なんとか最後のページにたどりつくことができました。
内容はともかくとして、一番楽しんだのは登場する人物が語る言葉でありまして、こ
れが当方には親しみを感じさせました。
「いまの日本じゃ、わしら家族がのこのこ仙台に雁首並べて行っても、面倒かけるだ
けだべや。・・・それよか、開拓民になって、土っこいじってた方がはたに迷惑をか
けねえんだ。」
当方が話を聞かせてもらった方の話を、文字に起こしましたら、ちょうどこの登場
人物ような口調になっていました。李恢成さんは札幌で過ごしていたわけですから、
北海道の人が語る言葉になじんでいてもなんの不思議もありません。