先日から三木卓さんの「若き詩人たちの青春」と李恢成さんの「百年の旅人た
ち」をかわりばんで読むことになりです。
このお二人はともに1935年のお生まれで、どちらも日本が支配していた外地
で生まれ育っています。敗戦後に日本に引揚げて、早稲田大学露文科で学ぶこと
になりです。
「ロシア語スクール」といっても、外務省の話ではなくて、文学者の話であります。
三木卓さんの本には、自分が参加していた「現代詩」の寄稿者について、次のよう
に記しています。
「『現代詩』ロシア語スクールは、関根弘、岩田宏、加瀬昌男、三木卓だったが、岩
田と加瀬は特に仲がよかった。加瀬はとくに岩田の才能を大切にし、よい仕事を
させようといつも力を貸していた。」
1935(昭和10)年生まれですから、終戦のときには10歳くらいですか、大学は
露文科へと行くのですが、そんころはすでに世界は冷戦でありました。
「大学はめでたく卒業したが、就職状況は最低というべき状態であり、労働運動を
恐れた企業側がロシア文学専攻の学生など好んで採用するわけがなかった。」
この世代でロシア文学専攻というのは、ほとんど就職は望めないということに
なっていたのですね。今もそれに近いのかもしれませんが、この時代とくらべます
とロシア語スクールの人気は高くないかもしれませんですね。
そう思っていたら、三木さん、李恢成さんと年齢が近い早稲田露文というと後藤
明生さんとか五木寛之さんがいたことを思いだしました。こちらのお二人もともに
外地からの引揚げ組でありまして、引揚げ、露文学ということでまとめてみたら、
ほかにはどういう人がいるでしょうか。ちょっと調べてみることにしましょう。