最初から驚くことに

 図書館から借りている中村稔さんの「私の平成史」を読みついでいます。

著名な弁護士で、詩人でありますが、有名になったのは詩人としてのほうが

先でありまして、当方が弁護士としてもすごい人と知ったのは、ずいぶんと

後になってのことです。

 中村さんは先に「私の昭和史」というのを書いていまして、この最初の一冊

を読んで、そのあとの戦後編は買っただけでほっておかれているのですが、昨年

に「平成史」がでまして、それを図書館から借りて先に読むことにです。

(この本を借りたときにも、すこし話題にしていましたね。)

 これの序のところで、一番びっくりとしたのは、次のくだり。

「ついでながら、『令和』という新しい元号が平成三十一(2019)年四月に発表

された。菅官房長官が重々しい表情で『令和』と墨書された紙を掲げてメディア

の人々に公表した。この『令』という文字の最後のタテ画の終わりがはねられて

いたことに、私に限らず、多くんお方が違和感を持ったにちがいない。終了の

『了』のタテ画は終わりははねるのが正しい。しかし、令和の令ははねない。

いうまでもなく、令は常用漢字であり、常用漢字のばあい、常用漢字表にはねて

いない字形であっても、書き字体では、はねる字体も許容される文字が存在

する。しかし、中村の中とか十とかいう字は絶対にはねない。この程度のこと

は、誰もが知ることである。・・・・

 『令和』の新元号を公表するまえに菅官房長官はもちろん、安倍首相その他

主要官僚もみな発表した墨書を見たにちがいない。しかも、彼らの誰ひとりこの

誤りに気づかなかった。無知、無学のほどは驚くべきことである。

この墨書は永久保存されるとのことである。こうした無知の政治家に平成終期

の多くの期間、政権が委ねられていたことに私はあらためて愕然とする。これが

平成最後の衝撃であった。」

 当方は、この墨書を目にしても、なんにも思わなかったのでありますので、無知

無学ということになるのでありましょう。

 この墨書の「令和」について、このように書いているのは、あまり目にしたこと

がなくて、当時の政権でありましたら、そうであれば常用漢字の取り扱いを変更

すれば問題はないでしょうと考えそうでありますが、そのようなこともないので

ありましょう。

 中村さんは弁護士として、国が文字を提示するときは、国が定めた常用漢字

によるべきであるという考えがあって、それで厳しく批判しているのですが、

この字を墨書した書家は、これは常用漢字ではありませんと回答するのであり

ましょうね。