追悼文の重連

 本日の朝日新聞朝刊26面に二本の追悼文が掲載されていました。

 一本は重松清さんによる「坪内祐三さんを悼む」でありました。あちこちで

坪内さんの追悼文が書かれているようですが、先日手にした「波」2月号に

掲載されていたのも重松さんの文章でありました。重松さんは坪内さんの

告別式で弔辞を読まれたのだそうです。

 坪内さんと重松さんは、どうつながるのかんと思っていましたら、「波」には

次のようにありました。

「坪内さんとは、じつは仕事上の接点はほとんどなかった。代わりに、神保町、

新宿、そして銀座の酒場で、さまざまなことを教わった。」

 重松さんは坪内さんの五歳下とのこと、夜の坪内学校の生徒さんであった

のですね。

重松さんは「波」では、坪内さんとの夜の酒場でのやりとりから学んだことを

記し、本日の「朝日」では、坪内さんがかって取り上げた「石井研堂」への

言及を紹介し、それに坪内さんを重ねるということで、その死を悼むことに

なりです。

 坪内さんについては、これからも、その早すぎる死を悼む文章を眼にすること

ができるでしょう。

 坪内さんのものとつながって、もう一つでていたのは「宍戸錠」さんを悼む

作家 矢作俊彦さんのものであります。

 この欄で宍戸錠さんの追悼文を眼にするとは思ってもみませんでしたが、

その書き手が矢作さんであるとなると納得であります。

当方は矢作さんのハードボイルドものはほとんど読むことなしで、「あじゃぱん」

とか「スズキさん」などを好んでいるのですが、もともと矢作さんといえば、

ダディーグースから「マイク・ハマーへの伝言」でありますからして、宍戸錠さん

の役柄 エースのジョーとは親しいものでありました。

 この矢作さんの文章は、とてもいいものでありまして、エースのジョーの死を

このように悼むことができるのかと感服しました。

こちらの追悼文には宍戸錠さんの写真とともに、かって「ダディ・グース」を名

乗っていた矢作さんによる「エースのジョー」のポートレートが掲載されていて、

矢作さんの「エースのジョー」への敬意が伝わってくることです。

THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ

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