TV番組から学ぶこと 2

 本日もTV番組の話題であります。

 最近に読んでいたりする本の内容につながりますと、勉強になることで

あります。昨日まで二日連続でBSで再放送されていた「ダス・ライヒ秘蔵

映像 ヒトラー 死の部隊」というフランス制作のドキュメントは、まさに

そのような番組でありました。

 ちょうど読んでいたり、目を通したばかりの本が、これとつながるので

ありました。

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)

 

 

 手にしている本は、ドイツ軍の東部戦線のことを書いているのでありますが、

東部戦線とフランス国内(西部戦線)でもやっていることは同じであります。

「ドイツの戦争は、対ソ戦に至る前から、通常の純軍事的な戦争に加えて、すでに

『収奪戦争』の性格を帯びていた。とはいえ、ドイツの西欧諸国に対する戦争は、

比較的にということであるが、捕虜取扱における戦時国際法の遵守や非戦闘員

の保護など、『通常戦争』の性格を残してはいた。ただし、金品や美術品の略奪、

フランス軍の植民地部隊から取った捕虜の殺害なども皆無ではない。ポーランド

ユーゴスラビアなど、ナチスの眼からみた『劣等人種』の国々に対しては、人種

戦争の色彩が濃厚になった。」

 引用したのは、大木毅さんの「独ソ戦」からでありますが、これを見るかぎりで

は、フランス国内における戦争は、通常戦争の範疇と思われますが、フランス国

内でのレジスタンスのゲリラ戦術に手を焼いたドイツ軍は、レジスタンスと思われ

る人物の洗い出しにうまくいかなければ、その地区に住んでいる住民をすべて

集め、男性は射殺、女性は施設にとじこめて火を放ったとあります。

こうしてあっという間に一つの地区から人が消えることになるのです。しかも

この殺戮の一部始終を撮影して記録に残すのでありますね。

 上のほうからちゃんと作戦を実行しただろうなと問われたら、そのフィルムを

見せるのが一番でありますから。そうして残したフィルムがフランス ド・ゴール

軍の手に落ちて、70年後くらいに公開されることになるわけです。

 殲滅作戦への参加も、それをたんたんと撮影するのも、すべてお国のためで

あり、国家の目標を達成するためであります。普通の国民がそういうことをすると

いうのが戦争であります。

 独ソ戦でいえば、こうしたことはソビエト軍でも行われていたと思われます。

通常戦ということになれば、非戦闘員は戦争に巻き込まれないのがルールです

が、日本の場合でも、大空襲、原爆等々での市民の死者はものすごい数です。

戦争をきれいごとで済ませるというのは、これまでにあったのかどうか、もちろん

アジア諸国におけるかっての日本軍も例外ではありませんでしょう。

 それにしても人間として尊敬できない人物をリーダーとして、それを世間から

はエリートといわれる人たちが忖度しながら守っていくという国は、いったい

どこに流れされていくのかであります。