本日の新聞朝刊を見ましたら、池内紀さんが亡くなったとの記事があって、
これには本当にびっくりしました。亡くなったのは8月30日とのことですが、
葬儀等が終わってから死亡が報じられたのも、好ましいことであります。
昨日の夜には新聞のWEB版で報じられたようですが、当方はそれを見ること
もなしで、今朝になってからアナログ新聞で知ったわけで、こういうのも池内
さんらしいのではないでしょうか。
このところ池内さんのおかげで、ずいぶんと楽しい読書生活をおくることが
できていることだなと、つらつら思い返しておりました。
そんな時に、朝一番で拙ブログに「ぐんまさん」(未知の方ですが、これまで
読んできた本に重なるところありのようです。)からの書き込みをいただきま
した。当方も池内さんが亡くなったことを、どなたかと話をしたく思っていまし
たので、以心伝心でありますね。
野暮用ででかけた先で、あった知人は、当方に見せようと思って、池内さん
が澁澤龍彦と対談している雑誌(昭和62年のもの)を持参してくれました。
池内さんというと、ドイツ文学でも主流の作家ではなく、ユダヤ系など周辺の
作家の紹介者としてデビューしていたことで、フランス文学でいうところの
澁澤龍彦さんと似たような立ち位置のように、その昔の当方は感じたのでは
なかったかな。そんなことを思っていたことから、澁澤と池内対談というのは、
まったくもってタイムリーな情報でありました。
手元にはどのくらいの池内本があるのだろうか、池内さんから受けた影響
をどのように整理すればいいのだろうかと、自宅にある本を掘り出しながら、
いましばらくは考えることにいたしましょう。
「本の雑誌」2019年6月号に、池内さんは百鬼園先生の十冊を選んでいた
のですが、その号の「今月書いた人」というページに、次のように寄せていまし
た。
「近くにルーテル大学、東京神学大学という学生数の少い大学があって、散歩
しています。ほとんど人と会いません。『ヒトラーの時代』(中公新書)を七月に
出します。もうほとんど、この世に未練がなくなりました。」
「もうほとんど、この世に未練がなくなりました。」と記していたのは、本心で
あったのでしょうか。本当に残念なことであります。
とりあえず、本日に読んでみたく思った池内さんの本です。