本日15日は、注目の芥川賞の選考会でありました。
このところ芥川賞候補の常連となっている乗代雄介さんの作品が候補
となっていることもあって、北海道出身作家ということもあり、応援をする
ことにです。
今回は5回目の候補ということで、そろそろあげてもいいのではないかと
思ったりもしつつ、注目でありました。今回の候補作品「二十四五」は、文芸
雑誌に掲載になったとき、走り読みをしたのですが、急いで読んだことも
ありまして、ちょっとピンとこなくって、これは受賞したら、ゆっくりと読むこと
にいたしましょうと思っていました。
これまでの候補作としては「旅する練習」と「それは誠」の評判がよろしく
て、これらの作品に賞を与えずで、今回の作品が受賞となると、なんとなく
釈然としないよなと思っていたのですが、それなりに前評判は高かったのに、
今回も見送りとなりました。
これはかなり残念で、お気の毒なことであります。
今回の「二十四五」は、乗代さんのデビュー作である「十七八より」につな
がる作品であるとかで、購入していまだ読んでいない「十七八より」を、近々
読んでみることにいたしましょう。
ということで、いつもの読書に戻ることになりです。
このところ読みついでいる本は、昨日話題にした中村稔さんの「私の平成史」
と佐久間文子さんの「美しい人」でありますが、どちらもそんなにあわてて先を
いそがなくてもよろしです。
佐久間さんの「美しい人」は、佐多稲子さんの文学世界への案内となるわけ
ですから、佐多さんの本を手にして、関連するところを読みながらというのが、
たぶん正しい読み方でありましょうから、佐久間さんが編集した佐多さんの文庫
本を手元において、気になれば開くのがよろしでしょう。
佐久間さんの本に佐多さん関連で登場する人で気になるといえば、まずは
田村俊子さんですね。それこそ田村俊子さんについては瀬戸内さんが書いて
いて、目にしているのですが、違った人が書いているのも見たいものです。
佐多さんの文庫には「女作者」という小品が入っていて、これは田村俊子さん
についてのものですから、読まねばですね。
「美しい人」には、次のようにあります。
「戦後に発表した稲子の小説のタイトル『女作者』が、『かっこ』に入っているの
は、俊子にも『女作者』という作品があるからで、ここでの二人は、かって親し
かった作家の先輩後輩という関係としか描かれていない。
複雑な思いを胸に秘めたまま、湯浅芳子に頼まれて稲子は『田村俊子会』の
メンバーになるい、俊子の墓や文学碑を建立し、田村俊子賞の選考委員もつと
めることになる。」
「複雑な思い」というのは、田村俊子は佐多稲子さんの連れ合いであった窪
川鶴次郎と恋愛関係にあって、佐多さんの離婚の原因になった人であるから
ですね。佐多さんの「女作者」には、そのことは描かれていないのだそうですが。