わたしの解放区

 本日のTVで一番の話題はロシア大統領が来日して、首相と会談をしたことであります
ね。露国は日本からの経済協力を引き出したく、わが国は北方領土問題に解決の糸口を
見出したく思ったのでありましょう。その結果はどうであるのかわかりませんが、露国
の大統領は、どうやら日本では首相官邸よりも講道館に行きたかったようで、どうも日
本で尊敬できる人は、ここにしかいないようです。
 そんなわけで、北方領土返還に期待をしていた人からは、失望の声があがっていたよ
うです。当方がかってひいきにしていた役者の「すまけい」さんは北方領土 国後島
生まれで、数少ないこの島生まれの有名人でした。
根室からは千島四島がすぐ目の前に見えて、千島富士(ウルップ島の活火山)を毎日
眺めながら小学校に通ってました。その島におばあさんのボーイフレンドがいて、年に
一回ぐらい根室に遭いにきてました。・・・おばあさんも若いころ、よく国後島、択捉
島、志発島とか歯舞諸島へ行ってて、千島は温泉があっていいところだって言っていま
した。二番目の亭主が漁師だったから、その船に乗って千島に行ってたんだと思う。」
 上に引いたのは、1934(昭和9)年に根室で生まれた佐々木美智子さんからの聞き書
き「新宿、わたしの解放区」(寿郎社)からであります。

新宿、わたしの解放区

新宿、わたしの解放区

 本日になぜこの本に手が伸びたかといえば、それは露国大統領のせいではなくて、夜
に放送があったNHKBS「新日本風土記 東京新宿 花園神社」に佐々木美智子さんが登
場していたからであります。
 当方は、酒を飲まないこともありまして、ゴールデン街にはついぞ縁がないのであり
ますが、ここにたむろした人々の話などを見たり、聞いたりするのは好きであります。
佐々木美智子さんは、このゴールデン街でお店をしていた伝説の女性となります。
上記の「新宿、わたしの解放区」が刊行されたころには、「伊豆大島の暗室にこもって
写真を焼いている」とありました。
 本日の番組を見て、この女性が再びゴールデン街で店をやっているということを知り
ましたが、国境の町で育った女性のバイタリティに驚くばかりです。