「みすず」読書アンケート 3

「みすず」読書アンケートは、あちこちに刺激的な本が紹介され、それにコメントが
ついているのですが、本日は、現在読んでいる本に関係あるコメントからであります。
 83歳の英文学者 川口喬一さんの紹介する本についていたものです。
「私の読書人生を同時代的に豊かにしてくれたイギリスの『文人』たちが、つぎつぎ
に『自伝』を出版している。多くは第二次世界大戦後の福祉政策によって、労働者階
級から身を起こした、いわゆる『スカラーシップ・ボーイ』だった。
フランク・カーモード、レイモンド・ウィリアムズ、テリー・イーグルトンの系譜に
つながる人たち。その顕著な、しかし対蹠的な一例がジョン・ケアリー。ロンドン近
郊のグラマースクールから出発して、最後はオクスフォードの最高位のマートン記念
教授まで登りつめ、ブッカー賞審査委員長を二度、同国際賞の初代委員長も務めた。
保守派の代表の、嫌みな文学的自伝だが、リベラル退潮のいま、この種の『成りあが
り』人間はもう出ないかもしれない。世界的に富裕層が教育を独占する時代だ。」  
 川口さんのお年を確認してみようと思って検索をかけてみましたら、お生まれは
北海道上砂川町とありました。その昔は炭坑町でありまして、高校も普通の公立高校
出身とありますので、「スカラーシップ・ボーイ」に自分を重ねあわせたもので
しょうか。
 当方が、このくだりに目をとめましたのは、今読んでいて、先日に引用したところ
と重なったからであります。( http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20160126 )
 トニー・ジャットさんも、また自分で記していますとおりスカラーシップ・ボーイ
でありました。

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