あれもこれも 9

暮しの手帖」の大橋鎮子さんは、この雑誌のいいだしっぺであり、編集者で経営者
でもありました。
 大橋さんは、自分と同年代の女性向けの雑誌を創刊したのでありますが、それまで
も女性向けの雑誌というのはありました。たとえば、「婦人之友」などは、今年で
創刊109年になるものですが、この本を手にしたことの男性は、そんなに多くないの
ではないでしょうか。
 同じく女性をターゲットにした雑誌であっても、「婦人之友」は羽仁イズムとも
いうべきもので貫かれていて、イズム実践の全国組織であります「友の会」という
団体の導きの書の趣であります。( 辻邦生さんの奥様は自由学園を卒業されて
いまして、羽仁イズムをたたきこまれていたので、掃除などはとても手際がよかった
と記していました。そんな縁によるものか、辻邦生さんは「婦人之友」に映画評を
連載していたことがありました。)
 雑誌をやっていくためには、背骨のようなものが必要となりますが、「暮しの手帖
の場合には、「毎日の暮らしに役に立ち、暮らしが明るく、楽しくなるものを、てい
ねいに」というものですが、問題はこれをどう具体化するかであります。