あれもこれも 8

 大橋鎮子さんの「性格の土台」は、北海道の自然のなかでの暮らしで作られたと
あります。それは「無鉄砲さというか怖いもの知らずが、決心したら何としてでも
実行する」ということになるのだそうです。
 北海道から東京へと戻った大橋さんが女学校をでてから銀行、読書新聞、出版会
と働いてきて、敗戦後に家族の生活を支えるために自分で起業することを考えて、
思いついたのは出版の仕事でした。
 これを相談したのは、日本読書新聞の編集長であった田所太郎さんでありました。
「私の知らないことや、知りたいことを調べて、それを出版したら、私の歳より、
上へ五年、下へ五年、合わせて十年間の人たちが読んでくださると思います。
そんな女の人たちのための出版をやりたいと思いますが、どうでしょうか。」
 これを聞いた田所編集長は「花森安治さんは、そのほうに力のある人だから相談し
たらいい。」とアドバイスをしてくれたのだそうです。
花森さんと田所さんは、旧制高校と大学が一緒というなかであります。