竹内勝太郎の形成4

 ここ何日かは、富士正晴「竹内勝太郎の形成」から材料をいただいています。
600ページにも及ぶ、ほとんどいまとなっては無名の人々から詩人竹内勝太郎に
届いた書簡集を興味をもってみることができのは、詳細な人名索引がついている
からであります。この人名索引には、次のようにあります。
「 本文中に登場する人名は、姓のみ、あるいは名のみしか解らぬ場合も、原則
としてすべて掲げた。旧い時代の人物であり、また制作者(編集者)の無知のため、
あるいは誤読しているケースもあるかも知れぬが、著者、読者の御寛恕を請いたい。
・・・記載したページ数で、イタリックのものはそのページに書簡の掲載されて
いることを示す。」
 このように編集部での注があって、そのあと23ページにわたって人名が続くので
ありますが、小生が名前を聞いたことがあるのは、1割ほどでしょうか。
竹内勝太郎の研究者にとっては、この人名索引は、とんでもない労作ということに
なるのでしょう。
 これは編集部作成ですから、未来社 松本昌次さんによるものでしょう。
富士正晴さんのあとがきに「根性のきつい男だなと呆れるとともに、大いに感謝
せざるを得ない。」とありますが、コンピュータもない時代ですから、カードに
して整理をしたものでしょう。
 この松本さんは、未来社を退社後に「影書房」というのを立ち上げて、この会社は
いまでも地道な活動を続けているのでした。昨年から今年にかけて戦後文学に
ついてのアンソロジーをだしていますが、「根性のきつい男」は、老いても健在で
あるのでした。