あれから6年か

 今は亡き池内紀さんが翻訳していることを知って読むことになったのが、

チャトウィンの小説でありました。それが2014年のことでありまして、当方は

この年のことを「チャトウィン元年」として記録しておりますので、それから

6年が経過であります。

vzf12576.hatenablog.com 最初に読んだのは「ウッツ男爵」、それから買い揃えているのですが、いまだ

未読のものもあるものの「ソングライン」以外は、ほぼ手元にあることになりま

した。(といっても作品数が少ないので、すぐに集まってしまいます。)

未読のものは、これから70代に入っての楽しみにとっておくことにしています。

 一番新しい刊行物は、河出文庫にはいった「パタゴニア」でしょうか。これが

2017年でありました。この作品は、河出からでた池澤夏樹個人編集「世界文学全

集」に収録されたものの文庫化でありました。

 今のところ、一番容易に入手できるチャトウィン作品といえば、これになりま

す。それにこれには、池澤さんの解説がついていて、これもお得であります。

 この解説に、次のくだりがあります。

「彼は二十世紀のイギリスでもっとも惜しまれた、最もロマンティックな、プリン

ス・チャーミングとして逝った。まるでバイロンではないか。

 友人たちの一人で作家のニコラス・シェイクスピア浩瀚な伝記を書いた。

イギリス人の伝記好きは尋常ではない。ちょっとした人物はみな伝記を書いてもら

える。当人の死後まもなく誰かがいわば公認の伝記作家として名乗りを挙げ、家族

や友人たちに詳細なインタビューを重ね、書簡などの資料の提供を受けて書く。

『ブルース・チャトウィン伝』は本文だけで五百五十ページです。そして無類におも

しろい。」

  チャトウィンというと、旅する作家でありまして、山口昌男篠田一士そして

池内さん、池澤さんとファンが多いのでありますが、この浩瀚な伝記も読んでみたい

なと思っておりました。

 翻訳がでなければ、とうてい読むことができないと思っておりましたが、思いが

けず、この翻訳がでることになりです。昨日の新聞書評欄にこれが取り上げられて

いました。すぐには読むことが出来そうにありませんが、来年以降にむけてこれを

確保したいものです。

ブルース・チャトウィン

ブルース・チャトウィン

 

 8月にでているというのに、これまで当方のアンテナに引っかからないとは、

 どうしたことかです。版元は角川書店だそうです。角川とはまた意外なと思われ

る方もいるでしょうが、角川は、いまは角川文庫にはいっているチャトウィン

本を1999年に単行本として刊行していて、かなり付き合いが古いのでした。

  これの角川文庫版は池内紀さんが解説を書いています。

「『パタゴニア』以来、愛読してきた。書いたものすべてを読みたいと願ってい

た、ほとんど唯一の同時代人だった。」

 チャトウィンにはまった池内さんは、1993年に『ウッツ男爵』の翻訳をして

チャトウィンを日本でメジャーデビューさせることになったのでした。