チャトウィン元年

 昨日のきょうでありますからして、まずはそれにちなんだ話を前置きに。
 かっての戦争を体験した長老からいただいたはげましのことばです。
「絶望的ながら。負けても負けても闘う覚悟、と花田清輝が言っていました。」
 負けてもまけてもへこたれないぞであります。

 年末読書計画をねっているところでありますが、本日は「本の雑誌」新年号が
届きました。もちろん特集は「本の雑誌が選ぶ2014年度ベスト10」となります。
これが一年で一番の楽しみな号なのですが、さてあがっているもので気になった
ものはなんでしょう。
 今年に本屋で予備知識もなく手にして購入したのは「ウッツ男爵」でした。
拙ブログでも言及したのですが、池内紀さんの翻訳で、帯に「蒐集という奇妙な
情熱」とあったので、なかをぱらぱらとのぞいて購入を決めました。白水社
「永遠の本棚」の一冊でした。

 池内さんの解説を見て、この作者が1999年に48歳で亡くなったと知りました。
チャトウィンが甦る。新しい本としてもどってくる。訳者にとって、これ以上の
よろこびはない。生年が同じということもあって、ブルース・チャトウィンは私に
は、『そのすべてを知りたい』現代作家の一人だった。」
「ウッツ男爵」の翻訳が最初にでてから20年後の普及本化でありますから、池内さ
んが喜ばれるのもわかります。
 この普及本が刊行されて、当方はおくればせでブルース・チャトウィンの作品
を読むことができたのですが、気にしていましたらけっこうあちこちで出会うもの
です。
 どなたかのブログでは、次のものを紹介していました。
どうして僕はこんなところに (角川文庫)

どうして僕はこんなところに (角川文庫)

 こんな文庫本があるのは知らなかったので、早速のこと入手です。
チャトウィンの紀行小説「パタゴニア」は、池澤夏樹さんが編集した文学全集に
収録されていることも知りました。
 そして、本日手にした「本の雑誌」の特集でも目にしました。
あげているのは、またもや松家仁之さんです。
黒ヶ丘の上で

黒ヶ丘の上で

「冒頭のすばらしさをなんと言えばいいのだろう。静謐で、映像的で、先を読まず
にはいられない気配にただ引きずりこまれる。最初に描かれるディテールが物語の
なかでひとつひとつ展開してゆくさまをみてゆく快感。読み終えるのが惜しい長編」
 このような推薦のコメントがついていました。
 今年は、当方にとってチャトウィン元年でありまする。