この地で生きる

 昨日にBSフジで「ジャズ喫茶 ベイシー」という番組の放送がありました。

数年かけて制作された映画の公開にあわせて岩手めんこいテレビが作った番組

であります。フジテレビの名物プロデューサーが映画制作にからんでいるせいも

あって、こうした番組ができたのでありましょう。

www.uplink.co.jp 岩手の一関と聞いて思い出すのは、当方の世代にとってはNSPというフォーク

グループでしょうか。ジャズの好きな人にとっては、なんといってもジャズ喫茶

の「ベイシー」でありまして、ジャズ喫茶ファンでありましたら一度は足を運ん

でみたいと思うお店です。

 昨日のTVで取り上げられていたのは、このお店のマスターであります。菅原

さんにとっては、ここが自分の生きる場所でありまして、この場所が魅力あるも

のとなるように日々努力をしているのがわかります。

 なかなかこのようにはいかないのでありますが、自分が生活している場を大事

にしたいものであります。日々の生活への満足感は、むしろ東京などよりも地方

といわれるところの小都市のほうが高いように思います。(これは良くも悪くも

でありますが。)

 そんなことを思っていましたら、本日に立ち寄ったブックオフで次の本を発見

です。

出版屋の考え休むににたり: 出版屋の考え休むににたり
 

  福岡にある「石風社」の代表者によるエッセイ集となります。九州にはすぐ

れた書き手がいらして、他の地域と比べると出版は活発なようにも見えますが、

事業が大変なのは、他と(もちろん東京も含め)かわりなしです。

 この本の冒頭におかれた文章からの引用です。

「東京には、『中央ー地方』論を超えた、近世都市としてのおもしろさもある

ことを冷静に認めた上で、それを相対化できる価値を、具体的な作品として

生み出さなければ意味がない。・・・

 九州・福岡という土地は、職業的書き手こそ少ないけれど、その風土に豊か

さをはらんでいる。それは東京に唱導された『地方の時代』という言葉に象徴

されるような、胡乱なことではない。またはやりの『村おこし』というのも、

地方都市を含めた都市資本による、全国的な地方の解体=商品化の別称である

ことは自覚しておいた方がよいと思う。」

 文中に「村おこし」という言葉があることからもわかるように、これはずい

ぶんと昔、1992年に書かれたものです。これが書かれてから20年近くもたって

東京と地方の関係にはかわりがないのでしょうが、世界的にみると東京の地位

はずいぶんと低落したようにも思えることです。

 ちなみに九州の出版社「石風社」さんが刊行した本で一番有名なものは、次

のものでありましょう。

ペシャワールにて 癩そしてアフガン難民

ペシャワールにて 癩そしてアフガン難民

  • 作者:中村 哲
  • 発売日: 1992/03/20
  • メディア: 単行本