土曜日のお楽しみ

 本日の日中は、昨日よりも気温があがったのですが、これから明朝に

かけてまた気温が下がるようであります。22時の気温はマイナス11.7度

で、昨日よりも4度ほど高くなっています。

 寒いので、いつもよりストーブの燃焼目盛りをあげています。それでも

なかなか室温は20度よりあがりません。20度近くもあるのかといわれ

そうでありますが、谷崎潤一郎もいうように、冬の北海道の室温は高いの

であります。

 土曜日はBSで「男はつらいよ」を放送していまして、本日は17作目との

ことです。1977(昭和52)年の作品ということですから、すでに42年も昔

に作られたことになります。これに出演している主だった俳優さんで、現存

している人を見出すのがたいへんになりますが、亡くなってしまった名優

たちが演技を見ることができるのがありがたい。

 本日は宇野重吉太地喜和子岡田嘉子を堪能であります。この映画

が国民的な人気を集めたのがよくわかる一作でした。

 そんなわけで、本日はこの作品の旅先の舞台ともなる兵庫県龍野市に

ゆかりの(もちろん作中で、この町の出身の著名人として紹介されるの

ですが。)詩人、三木露風が竹内勝太郎に発した書簡をのぞいてみること

になりです。(富士正晴さんの労作「竹内勝太郎の形成」に収録されてい

るものからです。)

 三木露風は北海道の渡島当別トラピスト修道院に身を寄せていた

時にも、活発に竹内勝太郎と手紙のやりとりをしていたようです。この本

は、竹内勝太郎さんに宛てられた書簡をまとめて、それに解説をつけた

もので、これには竹内勝太郎さんが発した書簡は収録されていないと

いう不思議な書簡集(?)であります。

 トラピスト修道院から三木が京都市岡崎の竹内勝太郎にあてた手紙

の一部を引用です。大正10年12月3日の日付のもの。

「何しろ何時も真摯な省観をおこたらない君の態度を喜ばずにはゐられ

ない、こちらは雪がふってゐる、併し寒さはそれほどではない、雪は生活

の思想を純にする。」

 「雪は生活の思想を純にする。」というのは、詩的な表現でありますが、

どのように読めばよろしいでしょうね。12月3日くらいに降る雪であります

し、寒さはそれほどでもないので、積もるほどではなくて、冬の入り口を

強く感じさせる雪となるのでしょうか。生活を純にするではなく、思想を

純にするのですから、これはトラピストで生活しているということを考えあ

わせると、信仰にかかわる思想ということになるのでしょうか。雪に閉じ込

められる季節になると、それまでの屋外での仕事などがなくなって、その

分、祈りに捧げられる時間を多くもつことができるというようなことかな。