本日は読書はじめということで、今年の読書をスタートさせることに
です。さて、何から読み始めようと思っていたのですが、昨日の元旦は
E.M.フォースターの誕生日とありましたので、これを見てフォースター
を手にすることにです。
ちなみに昨日に目にしたのは岩波文庫「フォースター評論集」の販
売促進のもので、岩波文庫のXでありました。
こちらの文庫本は、たしか買ってあるはずですが、すぐには見つかりません。
この文庫は、フォースターの二冊のエッセイ集から選されたものでありま
して、この二冊「アビンジャー・ハーヴェスト」と「民主主義に万歳二唱」は
どちらもみすず書房からの「フォースター著作集」に収録されています。
当方は、みすず「フォースター著作集」のうち、「民主主義に万歳二唱」だけ
を安価で確保して架蔵しております。これを購入していたのは、加藤周一さん
のエッセイのおかげであります。
このことは以前も記しておりました。
当方が、現在トルストイ「戦争と平和」を読んでいるのも、この流れのなかで
あります。
vzf12576.hatenablog.com 文庫にどのような文章が選ばれているのか、承知していないのですが、
みすず版著作集の「万歳二唱」には短い文章がありまして、まずはそれか
ら読むのがいいですよね。
たとえば、「私が影響を受けた本」という本の書き出しのところ。
「私が影響を受けた本は大作ではなかった。これが、最初に指摘したい点
である。影響云々といった問題になると、人は大作を探し出し、その本の
影響力こそ自分の見解や性格をつちかったものだと思いたくなる。」
ということで、三冊の記念碑的な作品としてダンテ「神曲」、
ギボン「ローマ帝国衰亡史」、トルストイ「戦争と平和」をあげるのですが、
この三冊からは「少しも影響を受けなかった」と書くのでありました。
それじゃどんな本に影響を受けたかというと、次のように書かれていま
す。
「私が影響を受けた本は、サミュエル・バトラーの『エレホン』である。天才
の作品といえるが、ダンテやギボンやトルストイを基準にすれば、卓越した
作品とは言えないだろう。『きまじめすぎる書かれ方をされていない、きま
じめな本』と呼ぶのがより適切である。」
「エレホン」なんて知らないなと思ったのですが、これはたぶん昔から
翻訳がでているはずで、最近もディストピア小説の先駆的な作品として
新訳が2020年に新潮社からでていました。
フォースターは、この小説のどのようなところに影響を受けたかであります
が、二点あげてまして、それを次のように書いています。
「私が不意打ちをくらうのが好きなたちの人間であるからだ。・・・
私たちが影響を受けるのは、私たちのなかに受け皿ができていて、しかもこれま
で歩いてきた自分独自の道の少し先を進んでいる本からだけなのである。」
この引用だけでは、なにがなんだかわからないことですが、気になるかたは、
図書館でのぞいてみてください。