本日の読書欄から

 本日の朝日新聞読書欄を見ていましたら、購入することはないだろうと思うのです
が、気になる本の紹介がありました。
 一冊は、次の本です。評者は宮沢章夫さんであります。

ロッキング・オンの時代

ロッキング・オンの時代

ロッキング・オン」というのはロックのための批評誌になります。創刊は1972年とあ
りますので、すでに40年以上の歴史があります。ロック好きでもかなりコアな人を対象
としているものですから、ほとんどの人には無縁な雑誌でありましょう。
 宮沢さんの書評から引用です。
渋谷陽一が、本屋で音楽雑誌を立ち読みしてもどれもつまらないから自分たちで雑誌
をつくったという意味の痛烈なメッセージを、その頃、どこかで発言していた。まず、
この言葉に喚起されたと思うし、音楽そのものとは別に音楽批評という営みの刺激を
ロッキング・オン』から受けた。それはジャズ批評でも、歌謡曲の批評でもなかった。
ロックでなければいけなかった。」
 当時二十歳をすこしでたくらいの若者たちが、当時の音楽雑誌(というか音楽批評)
に満足できず雑誌を創刊したのでありました。当時の音楽雑誌といえば、中村とうよう
さんがおこした「ニューミュージック・マガジン」が出来てまもないころでありまして
当方などは、高校生の頃から中村とうようさんにいかれていましたので、それを毎月
購読していたのであります。
 椎名誠さんと仲間たちが「本の雑誌」をつくったように、その世代の人のつながりか
ら雑誌が誕生するとすれば、「ロッキング・オン」こそ、当方の世代がつくった雑誌と
いえるでしょう。
 当方が京都で学生生活をおくっていた時、「ニューミュージック・マガジン」の投稿
欄に掲載された当方の住所を見てたがと郵便が届き、そこには「ロッキング・オン」と
いう雑誌をつくることになったが、ついては雑誌を置いてくれるところを紹介しては
くれまいか(販売に協力してほしいともあったかもしれぬ。40年以上も前で、このとき
の手紙は残っていないでしょう。)というものでした。
 このようなコンセプトの雑誌とは書いてあったと思うのですが、ちょっと当方の音楽
の好みとは違うなと思って、京都のレコードやさんを紹介して、それっきりになって
しまいました。
 当方は当時から若年寄のようなところがありまして、同世代が新しい雑誌をおこすと
いう試みに、冷やかであったようです。
それから40数年でありますが、同世代である渋谷陽一さんの文章とか番組につきあう
ことがほとんどなく、主としてかなり年長の文筆家のものに親しむことで、日々を過ご
しているのであります。
 しかしそれにしても、同世代で一番地道に活動をしているのが渋谷陽一さんであると
いう印象を受けます。特に、最近の「SIGHT」誌などの刊行に関してです。