借りてきたもう一冊

 昨日に新たに借りてきた本は中村稔さんの「私の平成史」と、佐久間文子

さんの「美しい人 佐多稲子の昭和」でありました。

 かって芸術新聞社のWEBサイトに連載されていたものが、一冊となった

ものです。このWEBサイトというと、2015年くらいに小沢信男さんが連載をし

ておりまして、その連載は、そのあとに筑摩書房から「私のつづりかた」として

刊行されたのでした。

 それと同じころに佐久間さんの連載があったことを思いだしましたが、こち

らは単行本にまとまるまでにずいぶんと時間がかかったことであります。

 当方は、佐多稲子さんの若い頃は、もちろん知らないのでありますが、

当方が顔を知るようになった70代の写真を見て美人であるな、これなら

若い頃には男たちに言い寄られただろうなと思ったことです。

 この本は、佐多さんへの関心とあわせて書き手である佐久間文子さんへ

の関心から、ぜひとも読んでやりましょうと思ったものです。

この本を手にして、わるいクセですぐにあとがきを見てしまうことにです。

そこには、当然のようにありましたですね。

佐多稲子の短編集をちくま文庫で出したい。ついては作品を選んで解説を

書いてもらえないかという。

 河内さんは、2021年に亡くなった小沢信男さんの担当で、小沢さんとの

会話をきっかけに佐多稲子長谷川四郎の短編集を出すことになったそう

だ。

 小沢さんは、かって新日本文学会で『新日本文学』を編集していたことが

あり、佐多稲子とも親しかった。評伝を書くためにインタビューさせてもらい、

貴重な資料もいただいた。伝記の著者ならともかく、書いている途中の人間

が編者になるというのは、どうなのだろうと思わないでもなかったが、ぜひとも

やらせてもらいたいと返信し、佐多稲子著作権継承者である窪川昌平さん

に河内さんと会いに行った。」

 あとがきの、このくだりを読むだけでもこの本を借りてよかったと思うこと

であります。

 筑摩書房の編集者 河内卓さんは、小沢さんの「私のつづりかた」から

担当で、この本の小沢さんのあとがきに、「ただいま私にもっとも親しく手ご

わい友人は、三十代で独身の河内卓氏であります」と書いています。

 この本は奇妙なことに芸術新聞社と筑摩書房のコラボのような本であり

まして、佐久間さんのあとがきを読むだけでも期待が高まることです。

(このあとがきには編集者服部滋さんも登場し、佐久間さんの今後にも注目

でありますね。)