はじめての雑誌

 はじめて買った雑誌「SIGHT」であります。すでに65号となっているのですか
ら、これまでずいぶんと長いこと縁がなかったことです。

 今回の特集は「電力は足りているのに 原発を再稼働。その欲望が怖い」というもの
です。この特集のはじめに渋谷陽一さんが、次のように書いています。
「ちょっと逆説的な表現になってしまうかも知れないが、脱原発は簡単なことだとこの
特集を作りながら思った。と同時に、とても難しいとも感じた。・・
 なぜ脱原発は簡単なのか? それは3・11以降の日本を見れば明白である。福島の事
故以降、日本の原発はすべて止まった。日本はつい最近まで脱原発刻であった。
しかしそのことで電力が止まったり、原油の輸入が急増して国家財政が破綻したりはし
ていない。原発がなくtも日本の電力事情が崩壊するわけではないのは、ここ数年の
現実が証明している。・・・・
 事故さえ起きなければ原発は便利な電力エネルギーである。産業のない過疎地に建て
れば、地方に産業と金が回ってくる。資源のない日本にとっては、原油価格に左右され
ることなく安定的なエネルギー供給が実現する。安全性に目をつぶりさえすれば、いい
ことが多いのが原発なのだ。たくさんの欲望が、安全性に目をつぶりさえすれば実現し
たのだ。日本社会全体がその欲望に走った。そのツケが福島の事故によって一度に回っ
て来た。」
 そもそもこの世の中には100%安全なことなんて、一つもないので、そんなことをいっ
たら、なんにもできないではないかといわれそうであります。普通であれば99%安全で
あれば問題ないというのでしょう。(世の中にあふれている自動車なんて、安全性の観
からしますと、原発よりもずっと危ういではないか。)
 たしかにそうでありますが、自動車は原発事故のように広範な地域に、しかも長期に
わたって、決定的なダメージを与えることはないでありましょう。
 日本の原子力発電所のこれまでの実態は、100%安全ということからすると、不安を
抱くような現実があって、それはフリーライターによって報告をされていましたが、
原発推進派からは一笑に付されていました。
 今になってみると、原発安全神話に洗脳されていたとしか思えません。
原発がほとんど疫病神のようになっている日本において、どうして脱原発が実現しない
のか、それは決して原発所在地の人々の生活安定のことを考えてのことではないようで
あります。