先日に池内紀さんの「亡き人へのレクイエム」を読んでいましたら、その菅原克己
さんのところで、小沢さんの文章に言及されていました。
その文章は、小沢さんの「本の立ち話」に収録のものですが、この菅原克己さんに
つながって、小沢さんの本を紹介している方がいらっしゃいました。
ちょうど「亡き人へのレクイエム」を読んでいた頃に、「みすず」アンケート特集
号が届きました。それを駆け足で見ていましたら、そこに小沢さんの本があがってい
ました。
あげてらしたのは栗原彬さんで、小沢さんの本は「捨身なひと」晶文社刊
- 作者: 小沢信男
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 2013/12/14
- メディア: 単行本
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「菅原克己さんに詩集を戴いたときのこと。含羞の詩人のやさしい面差しと共に、
人と世界への疎遠と、だからこそその距離を必死に埋めようとする近しさの捨身な
身振りが、閃光のように走って消えた。忘れ難い記憶の中の一枚の絵。ここに酉
上げられたのは、花田清輝、中野重治、長谷川四郎、菅原克己、辻征夫。いずれも
『捨身の人』でなく、『捨身な人』。そして小沢信男もまた。」
先日は池内さんが紹介する小沢さんの文章を読み返し、「みすずアンケート」を眼
にして「捨身なひと」を手にすることになりです。
「捨身なひと」の担当編集者は中川六平さんで、ほぼ生前最後の仕事となりました。
小沢さんはあとがきで、この書名について次のように記しています。
「拙文の束をお届けすると、やがて中川六平氏が全五章の目次案を手にあらわれて曰
く。こんなふうにならべた。題して『捨身なひと』。はじめ『捨身のひと』としておい
たら、装幀の平野甲賀さんが、だんぜんこれは『捨身なひと』だって。そうだよなァ。
これできまりよ。あっちこっち書きなおしたいんでしょ。どんどんやって頂戴。」
捨身と聞くと、なんとはなしに爆弾三勇士とか自爆テロヒーローのことを思い浮か
べてしまいますが、もちろん、この場合は、これの真逆でありまして、身を捨てて
浮かぶほうのことでしょう。