一身にして二生を 3

 金時鐘さんの「朝鮮と日本に生きる」(岩波新書)は、岩波「図書」に連載したもの
に、新たに50枚を追加して、それで290ページほどの新書となっています。
そのほとんどは、朝鮮(済州島)での生活についてで、特に重きがおかれているのは、
四・三事件」のことであります。この事件のことは、いまではすこし知られるように
なっていますが、当方が、この事件のことを知ったのは、金石範さんの小説「火山島」
によってであります。
「火山島」は、原稿用紙で11000枚を超える長編です。当方は全七冊のうち三冊は、
1980年代に読んだのですが、後に刊行された四冊は、2011年11月末に1年ほどかけて
読んでいきたいと、拙ブログで宣言したのもむなしで、第四巻の中途でとまったまま、
今にいたっています。この作品を読み上げるためには、もうすこし時間の余裕がなく
てはということで、先送りをしておりました。
 金時鐘さんの岩波新書は、「火山島」を読むための参考書であるのかもしれません。
 それはそれとして、金時鐘さんが日本に来てからのことを、もうすこし書き足して、
岩波新書の続編としてもらいたいものです。
 そういえば、金時鐘さんには次の著作があって、こちらは日本でのことを書いていま
すので、それを読んでということでしょうか。

「在日」のはざまで (平凡社ライブラリー)

「在日」のはざまで (平凡社ライブラリー)