「本の雑誌」2013年1月号のおたのしみ「私のベスト3」を見ています。
どうやら、これを見て一番驚いたのは「『狩久全集』(全六巻)『四季桂子全集』
(全一巻)全七冊セット」のことであるようです。本当に読みたいものは、自分たち
でだしていくしかないというのは、別に最近になってはじまったことではないと思わ
れます。
昨日に、この「『狩久全集』(全六巻)『四季桂子全集』(全一巻)全七冊セット」
を刊行するにどのくらいの資金が必要になったのかと思って、全セットを完売して
得られる金額を積算してみたのですが、最初は計算違いをして200万円くらいと
思って、これならたいしたことはないと思ったのですが、桁がひとつ違って2千万円
でありました。ほとんど自費出版で、これだけを用意するというのは、そうとうに
たいへんでありましたでしょう。
この「私のベスト3」のあちこちに、こうした自費出版に近いようなものがありま
す。
たとえば、都築響一さんがあげる次のもの。
「『渡部雄吉写真集 張り込み日記 ( roshin books )
昭和30年代に起きた連続殺人事件を追う刑事ふたりに密着、その捜査の日々を
モノクロームの美しい写真に結実させた、驚くべき作品。いちどだけ雑誌に発表さ
れたあと長らく忘れさられていたものが、イギリス人によって神田神保町でプリン
トが発見されロンドンに渡り、パリでの展覧会を経て日本で、それも出版とは無縁
だった一青年によって自費出版された、奇跡の出版。業界人たちは恥じるべきだ。」
渡部雄吉写真集 「張り込み日記」 Stakeout Diary
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Watabe Yukichi: A Criminal Investigation
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戻ってきたが、それを手がけたのは、名前も聞いたことのないところであります。
http://roshinbooks.com/watabe.html
「業界人たちは恥じるべきだ。」というのは、そのとおりでありますが、こういう
奇跡の出版をしてくれる人こそ応援をしていかなくてはいけないのでありましょう。