本の雑誌 1月号 4

 当方は、ミステリーとかSFの分野にはうといので、もちろん「狩久」という名前は
承知しておりませんでした。これはなん読むのだろうかと思って検索をかけてみまし
たら、まっさきにこの全集のことがでてきました。
 全集の書影なども掲載されていますが、このような企画は決して大手の出版社では
できないことでして、これぞマニア出版の極致でありますね。これだけマニアックに
なりますとよほどの筋金いりミステリファンでなければ、ついていけないかもしれま
せんが、そうした筋金いりの人が、ミステリのこのジャンルには300人はいるという
ことですね。(公的な図書館は購入しそうもないですから、ほとんど個人が購入する
のでありましょう。)
 それにしても、このような企画を現実のものにしてしまう人というのはどういう
人なのだろうと興味をもってしまうことです。
 この版元のサイトなどはないのですが、ミステリファンの人たちが販売促進に協力
をしていて、そこにこの本の編集者の方のお知らせがのっていました。
「『狩久全集』(全六巻)『四季桂子全集』(全一巻)全七冊セット刊行のお知らせ
 このたび、『狩久全集』『四季桂子全集』が完成いたしました。いずれも現時点で
確認できる全作品を網羅し、文字通りの「決定版」を目指したものです。
 これを1セット七万五千円(消費税および送料込み、分売不可)で販売いたします。
購入を希望される方は、お名前、郵便番号、住所(建物も省略せずに記載してください)
連絡先電話番号、購入希望セット数を明記の上、下記までご一報ください。折り返し、
支払方法をお知らせします。
 佐々木重喜
 E-mail: ds-info★kaishinsha.jp
(★の部分をアットマークに変えてください)
 ご不明の点につきましても、どうぞお問い合わせください。多くの方々からの
お申し込みをお待ちしております。」
 この佐々木重喜さんは(創元推理倶楽部秋田分科会代表)とあります。
 皆進社というのは、秋田に所在するようですが、この佐々木さんが個人でやっている
もののようですが、この秋田の佐々木重喜さんで検索するとヒットする方と、この代表
さんは、同じ人なのでしょうか。
 この出版のことを知って、かって計画されてまだ日の目を見るにいたっていない
藤澤清造全集のことを思い浮かべました。あの全集は、かっては資金難で足踏みが続き、
最近は資料収集に力が入って、刊行が出来なくなっているのではないかと思います。
 この「狩久全集」「四季桂子全集」は、75000円で300部ですから、全部売れても
2200万円ほど、しかしこれで回収できるのは本の制作費だけでしょうから、こうした
出版を可能とするのは、ファンの情熱でありまして、アマチュアの凄さです。